影達はあっという間に消え失せた。


残り少なくなった影達は相変わらず奇妙に蠢く。


少ないといってもまだ数十匹はいる。


「残りもさっさと片付けようぜ…」


コウがまた手を振り上げる。


レナもそれに続いて手を上げる。


今度は辺りの小石や葉が舞い上がった。


「レナはそっちを頼む…」


「分かった!」


レナは舞い上がらせた無数の小石や葉を操る。


そして影達へと攻撃しようとした。


その時、一つの影がサッとレナを横切った。


「え?」


「レナ後ろ!!」


後ろを振り向こうとした瞬間、何かが襲ってくる気配を感じた。


咄嗟に避けるも、その途端肩に激痛が走る。


「ッ!!」


「大丈夫か!?」


肩を気にしてる暇はない。


影はまたレナを襲ってくる。


触覚のようなものを振り回す。


その先は鋭く尖っていた。


どうやらそれが肩に当たったらしい。


傷は血で赤く染まっていた。


レナは傷口を抑え影を睨みつける。


影の人が入っていないのを確認すると、さっき操っていた小石を思い切りぶつけた。


攻撃を食らったその影は、レナの顔に触覚を掠めたと同時に消え去った。


「いっつ……やっぱ油断は禁物だな…」

顔の切り傷を撫でる。

「レナ!!」


コウが慌てて駆け寄ってきた。


レナはこれくらい舐めときゃ治ると言うように肩を振る。


でもやはり痛むのか顔をしかめた。


「おっおい…無理すんなよ…」


「これくらい大丈夫だ!それに…」


(レナ!!大丈夫!?)


不意に心の中で声が響いた。