-2- カラフル世界 モノクロ世界



「いたっ……ここは……?」



恐る恐る目を開ける。



完全に意識が戻り、身体起こす。



ゆっくりと記憶を辿り始める。



確か大きな穴に吸い込まれて…



まだ頭がぼうっとする。



虚ろな目で辺りを見回した。



どうやらここは森のようだ。



狩猟の森とは違い、穏やかな雰囲気だ。



上を見上げると日差しが眩しい。



耳を澄ますと小鳥達の鳴き声が聞こえる。



夢のような心地よさ。



夢かと思い、どうせならと横になる。



ついさっきの眠気がまた襲ってくる。



そう言えば徹夜で寝てないんだった。



もしこれが夢なら思いっきり楽しんじゃおう。



そのまま睡魔に身を委ねる。



そしてウトウト…



(おっきろ~!!!)



いきなり心の中で声のアラームが響く。



慌てて飛び起き、頬を抓ってみた。



痛い。



「うっさーい!!こっちは寝不足なの!!少しでいいから寝させて…」



(寝てる暇があったら元の世界へ変える方法考えろよな~っ)



「あ………」



今自分が置かれている状況を把握した。



一体ここはどこなのだろう。



心地良い風が吹いている。



サワサワと木々が揺れる。



何か囁いているように聞こえる。



一瞬微かに話し声が聞こえたような気がした。



きっと気のせいだろう。



「これからどうする……?」



(そうだな~…とりあえず歩いてみようぜ!!)



菜奈は立ち上がると森の奥へと足を進めた。



しかし宛もなく森を歩き回るのは危険だ。



しばらく歩いて立ち止まる。



どこ行こうかと迷っていたその時。



ガサガサっと後ろの草々が激しく揺れた。



「なっ何!?」



まさか何かの獣!?



音と共に揺れも激しくなる。



音的にかなりでかい。つまり、かなりヤバい。



獣か何かがこちらに来ている。



思わず戦闘モードに入る。



姿勢を構えた時、揺れはおさまった。



ほっと息をつき、また進みだそうとする。



と同時に後ろに視線を感じた。



そして聞き覚えのある声がした。



「……大丈夫か……?」