(ほんっと修羅場って感じだよな~)


「修羅場って…それは言い過ぎ?でもないか」


菜奈が苦笑する。


ちなみに菜奈もレナも、それぞれの能力を持っている。


菜奈は治癒能力者で怪我などを治す力がある。


レナは人や物を操る力…洗脳能力者だ。


守備系の菜奈とは違い、レナは攻撃系の能力。


心の中で話が出来る為、よく話し合ったり時には喧嘩をする。


2人は能力も性格も正反対だが、何だかんだで仲良しである。


色々と喋っていると、携帯の着信音が聞こえてきた。


「はぁ…またか……」


呆れながらメールを確認する。


兄からのメールが10件ほど溜まっていた。


内容はほぼ全て同じ。



[今どこ?大丈夫?早く会いたいよ~(´;ω;`)   by光一]



あんのシスコンバカ兄貴っ!!


ため息をつき返信する。


ふと携帯の時間を見る。


遠くから響くチャイム音。


「あー!!!もうこんな時間っ!!」


慌てふためき猛スピードで目的地へと向かう。


しかしずっと走り続けていたせいか、息切れをしてしまった。


「レナ!学園まで飛んで…」


(めんどーっ走れ!!)


「そんなぁーっ」


溜め息をつきつつ、前を見る。


目的地までそんなに遠くはない。


走れば数分で着くだろう。


「こんなことで能力使いたくないけど…」


そう言うと菜奈は体を光らせる。


治癒で自身の体力を回復させる。


そして勢いよく走り出した。


(転ぶなよーっ)


レナの笑う声と鳴り響くチャイム音を聞きながら、何度も派手に転んだのだった。