SEPT vol.7 FATALISM [2017/8/2~8/7] | るんどどど

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遠藤瑠香さんとMia REGINAさんとスフィアさんが好き。
ライブや舞台など推し事感想文とかをたまに書きます。

SEPT vol.7 FATALISM 観劇してきました。

久しぶりに感想ブログを書きます。

 

 

私は11公演中4公演を観ました。

 

―公演を観てない方向けの概要説明―

公演を観た方は読み飛ばして下さい。

 

SEPT vol.7はFATALISMという一つの作品に、Ep.1,Ep.2,Ep.3の3つのエピソードがあり、1回の公演では3つの内2つの公演が行われるという形式でした。

私なりの解釈でかなりざっくりとした解説をすると、

 

Ep.1 2017年

両親を失ったトラウマにより言語失陥となった少女と、上手くいかない就活に希望を失った青年が出会うお話。

 

Ep.2 2117年

バーチャルリアリティ世界へのフルダイブが可能になった世界。

交通事故による昏睡状態で3年眠り続ける少女と、少女を想い歌を捨てたミュージシャンのお話。

 

Ep.3 2217年(←年号は間違っているかも)

義体化技術が発展し生身の人間が滅ぶ寸前の世界。

人間本来の感情を取り戻し人間として生き残るために、機械化人間に抵抗する最後の人間達のお話。

 

再構成世界(特に作中に名称は無し)

Ep.1~Ep.3の世界が滅んだ後に、神が様々な世界から文化や人を選び再構築した世界。

 

再構成世界は滅びを迎えるが、巫女雛菊は神絵空(エウロ)の気まぐれにより、運命の糸に絡め取られた3人の仲間の魂の救済と世界再生の機会を得る。

神の従者に伴われて、Ep.1~Ep.3それぞれの世界で、仲間の運命を見届けに行く...

 

それぞれのエピソードはハッピーエンドで、どのエピソードの組み合わせになった公演でも再構成世界も救われるハッピーエンドだったようです。

(Ep.1Ep.2の組み合わせは残念ながら観られませんでした...)

 

かなり壮大な舞台設定なのですが、説明臭い台詞は必要最低限で、しっかり聴いていれば明言されていない部分の背景も想像で補完できるくらいの丁度よい具合でした。

 

―概要説明終わり―

 

気になった要素や役者さん毎に感想をつらつらと書いていきます。

これ以降は公演を観ている方にしか分からない書き方になります。

 

・音楽

観劇前からとても期待していたのはなんといっても生演奏!

舞台の音楽を生演奏でやるのはものすごく難しいと思うのでどうなるのかとても期待していました。

各Epの配役を見て、優梨さん、遠藤瑠香さん、澁谷梓希さんが歌うシーンはありそうだと思っていたので劇中歌もとても楽しみでした。

 

わくわくしながら観に行くとオープニングからもうすごく楽しくて、大人しく席に座っているのが勿体ないと思うくらい興奮しました。

滝田周さんのピアノの静かな伴奏から、ふくい舞さんの力強くでも澄んだ歌声が入り、ガツンと衝撃を受けるように

「うわ、まじかよ!?この舞台は絶対面白いぞ!!!」

と開演10秒くらいにして確信しました。

 

各Epも歌が鍵となるストーリーになっていて、ストーリー上欠かせない要素としてライブがあり、そのライブ中に各Epの一番の盛り上がるシーンを重ねていて、芝居としての感動と、ライブの興奮がいっぺんに押し寄せてきてこれはちょっと他ではなかなか味わえない感動だと思いました。

 

サントラもすごく良くて、CDの在庫たくさんあるようだったので結局5枚買ってました。

 

・舞台セット、映像演出

舞台セットが面白くて、劇場に入って初めて舞台セットを見たときに、公演が始まる前からわくわくしました。

世界観の異なる4つの世界を同じ舞台セットでありながら、テスクチャマッピングで背景やギミックを投影して、それぞれの世界観が違和感なく表現されていました。

可動式の白いフレームが、門になったりカウンターになったり、スマホ画面になったりと色々活用されていて面白かったです。

 

 

―Ep.1感想―

Ep.1は3回観劇して、すごく良くて、Ep.2,Ep.3回のオープニングを見ていて、秋道と美雨が出て来ない事に悲しくなるくらい好きな話になりました。

 

・常盤悠/竹田雄裕さん

このエピソードはカフェのピアノ演奏という形で、劇伴がピアノの生演奏でした。友郎が秋道にコーヒーやらなにやらおごるシーンでの店主と悠の対応でピアノ演奏が活かされていてすごく面白かったです。

毎回楽しみにしていたシーンの一つです。

 

・堂上承太郎/笹川大輔さん

過保護で不器用すぎる店主。

街中で偶然出くわした秋道に詰め寄るシーンが面白くてあれで一気に店主好きになったお客さんは多いと思いますし、私もです。

”成田”兄妹に対しては恐らく母方の叔父だと思うので、逃げた姉?の分の罪悪感もあってより過保護になっていたのかな?など想像しました。

 

・成田美雨/優梨さん

本人の言葉はなくても戸惑いや苦悩がしっかり伝わってきました。

美雨が思い悩む姿を見ているとすごく切なくなりました。

2度目の観劇の際に、秋道が美雨が居ると知らずに、美雨の歌で救われたという話をした時に、掃除をしていた美雨の手が止まるのを見て、美雨の心中を想像したらそれだけで涙が込み上げました。

歌もすごくよかったです。屋上で一人辛そうに歌う歌もとても綺麗でした。

 

・成田大我/Jeityさん

とても良いシスコンでした。

最初正直ちょっと面倒くさいお兄ちゃんだなと思ったのですけど、ずっとしかめっ面をしていた大我が、ライブ中美雨の歌声を聴きながら笑っているのが本当に心底嬉しそうで、その後感極まって泣きそうになってたり、公演回によってはこっそり涙をぬぐってる仕草も見えて、Ep.1で個人的に一番の泣き所は「ライブ中の大我」でした!

歌もめちゃくちゃ上手くて兄妹のデュエットが素晴らしかったです...

 

・河野秋道/薫太さん

愚直すぎて大我がイライラするのもよく分かるのだけど、憎めなくてライブ後に「救われたのは私の方です。」と告げられた時の心境を考えると溜まらず感極まりました...

秋道は就職後も苦労しそうだけど頑張ってほしい!

 

―Ep.2感想―

・藤堂/宮本親臣さん

今回の舞台の出演者を見てすごく楽しみにしていた方で、以前別の舞台で見た人間離れしたアクロバティックアクションがまた見られるのを期待しまくっていました。

オープニングの出だしからぐるんぐるん回っててワクワクしました。

アクションシーンの組み込み方が、VR格闘ゲームというのが予想外で面白くて「そう来たか!?」という驚きと、まさか瑠香ちゃんとの対戦という形でアクションを見られるのが嬉しくて、初回見た際に対戦が始まる前からものすごく興奮しました。

今回も何がどうなったらあんな動きができるのかわけのわからないスーパーアクションで「人間にはあんな動き絶対無理!」という台詞その通りですよね...。どうなっているんだ本当に....。

そのものすごい回し蹴りとかを最小限対捌きで避ける朱莉がすごい格好良くて、本当におかげさまでありがとうございますという気持ちです。

 

・信条宗介/吉岡毅志さん

痛いほどの妹への愛がとても強く伝わってきて胸が苦しくなりました。

自分自身の「生きているのか」という懐疑を必死で打ち消すような、叫びや擦れるように搾りだす声が鋭く心に刺さってきて、「脳だって動いてる!呼吸もしてる!きっといつか目だって...」という台詞が本当に辛くてぼろぼろ泣かされました。

目の前に居るのに自分だけが会えない、この先も会えるか全く分からないというのは死に分かれるより残酷なのではと思いました...。

 

・星野小春/内田眞由美さん

VR世界で朱莉と話ながら罪悪感を募らせながらも、自身も現実世界では生きられない故に、朱莉に依存していたのではないかと思います。

拒絶されるのが怖くて、事故の真実を告白し謝罪した後、朱莉の答えを聞かずに立ち去ろうとしたのではないかと感じました。

小春視点で見ると、すべてを受け入れて友達でいてくれる朱莉の笑顔は本当に救われます。二人が抱き合うシーンがすごく好きです。

 

・大神勇将/齊藤真生さん

齊藤さんの台詞は芝居味がなくてすごく自然に壇上に勇将が生きているように感じました。

勇将は朱莉と宗介のことをすごく思いやっていて、それを自身の願いとして行動していて、きっとそれを自己犠牲とは思っていないのだろうなと想像できる健気さと強さに惹かれました。

自分の言葉のせいで朱莉が大変な事態に陥っていることを告げられて同時に宗介に激しく叱責されるシーンはあまりに過酷で、宗介に倒されたあと一切弁明もせずにしばらく起き上がれない姿を見るのはすごく辛かったです。

ライブでは弾き語りがすごく良くて、優しく力強い声が心地よかったです。

 

・信条朱莉/遠藤瑠香さん

お目当ての役者はもちろん遠藤瑠香さんでした。

出演が決まってからSEPTがどんな舞台なのか調べて、生バンド演奏で歌が聴けそうだと分かり、それはもうものすごく期待していました。

劇中歌については前々から期待していたのですが、アクションはあると思っていなかったので、直前になってどうやらアクションシーンがあるみたいだと分かって驚きました。

藤堂のド派手な蹴りを難なく避けて炎を放って吹っ飛ばす朱莉が格好良すぎました。勝利の決め台詞が格ゲーぽくてちょっと面白いけど、ポーズがビシっときまってて格好良かったです。

そして、対戦中のキリっとした表情と、終わったあと嬉しそうに飛び跳ねるときの笑顔のギャップがまた素晴らしかったです。

 

朱莉が自分の心境を吐露するシーンは胸が苦しくなりました。

「みんなが帰ってログアウトすると真っ暗なの。そばに居るはずのお兄ちゃんの存在も感じられない。握っているはずの手の温もりも感じない。当たり前だったはずの夏の暑さだって思い出せない。」

(細かいところ色々怪しいけれどこんな感じの台詞)

 

勇将に「歌えるわけないだろ!」と言われ自分が歌を奪ってしまった事へのショックでログアウトに至るシーンは何度見ても辛かったです。

勇将と朱莉が自分以上にお互いの事を想い、尊重し合っているはずなのに、すれ違い苦しんでいるのがとても切なく、辛かったです。

 

朱莉がログアウトしてしまうシーンは感情の爆発があり、悲鳴のような叫ぶような台詞の中で、朱莉が生きたいと思っていた理由が勇将の歌を聴きたいという願いにあることを伝えなければならないので、すごく難しいところだと思うのですがしっかり伝わっていました。

 

Ep.2冒頭のシーンに繋がるまでの展開があまりも辛すぎることもあって、ライブパートで朱莉の意識が救われて勇将と再開できたこと、二人が歌を取り戻せたことが本当に嬉しかったです。

そして、瑠香ちゃんがいつもと全然違う声色で歌っていて、生バンド演奏にその歌声がのっていて、それを聴けたのが嬉しすぎたのか... 初回聴いた時は特に、自分でもよく分からないまま涙があとからあとから溢れてきました。

劇中歌であるaliveは歌詞もとてもよくて、歌詞を読み舞台を思い出しながら聴くととても感慨深いです。

 

追記:

朱莉の衣装もとても良かったです。

・淡い青と白のグラデーションが綺麗なシャツ

・ひざ下丈の白いロングカーディガン

・ホットパンツ

ボーイッシュとガーリッシュが共存していて役のイメージにも合っていて良く似合っていました。

 

・水色のネイルも夏らしく爽やかでした。

 

 

 

劇中では勇将と朱莉に焦点を合わせていて尺の都合もあり?宗介と朱莉の再開がほとんど描かれていなかったのが少し物足りなかったので、妄想で宗介成分を自給してみました。

―Ep.3―

Ep.3は一回しか観劇できなかったためあまり深く読み込めていません。もう一度観たかった...

Ep.1,2での歌は個人を救うものだったのに対して、Ep.3での歌は人類を救うものでスケールが壮大な話になっていました。世紀末的な荒廃した空気も漂っていて面白いお話でした。

Ep.3の劇中歌「lost moment」は熱く激しいロック調で、ギターhoto-Dさんとベースokamu.さんが楽器をかき鳴らし全身で荒ぶってるのを見て、拳を突き上げて頭を振って盛り上がりたい衝動にかられて静かに座って聴いているのがもどかしかったです。

 

・エイナ/澁谷梓希さん

黒Yシャツと黒スキニーパンツという地味になりそうな組合せなのに赤髪とスタイルの良さですごく鮮烈な印象を受けるビジュアルに仕上がっていました。

別舞台での演技がめちゃくちゃ格好良かったので今回も期待していました。

一人でも生き抜けそうな強さと仲間を思いやる優しさ、一人の時に見せる儚さのバランスが上手く共存していました。


・シン/岩男匡哲さん 

人間の意識と機械化人間の意識が混在しているときの演技はものすごく臨場感がありました。

現実的にはそんな状況は見たことがないわけですがそれでもリアリティを感じるくらいの説得力がある演技でした。


・マム/加賀美早紀さん

機械化人間のボスとしての人間味を感じない様子から、感情を再インストールされることで本来の人格を取り戻しリョウとの再開に涙するシーンでの、それぞれの人格の表現力がすごかったです。


・まとめ

個々のエピソードも、エピソードの繋ぎ方もとても面白くて毎回ワクワクしながら観ていました。

3つのエピソードを繋ぐ為に3パターンの台本を覚えている方々もいたはずなのに怪しい部分はほぼなくて全体の完成度がすごく高かったです。

今回のSEPT vol.7で私がいつも応援している遠藤瑠香さんがEp.2ヒロインとしてキャスティングされ見事に演じていたのがとても嬉しかったです。

是非SEPTシリーズの今後の公演でもまた出演する機会がある事を願います。


雛菊役の梅田彩佳さんが舞台の最後、観客の一人一人顔を見ながら語りかけるように紡ぐ言葉がすごく心に染み入りました。


劇の中で生きる人物の言葉が、私達に生きる力をくれる事を改めて感じる事ができた舞台でした。

ありがとうございました。