保育園も年長さんになろうという頃にそれはなんの前触れもなく起きてしまった。(自分では自覚してなかっただけかもしれないが)

母と近所のスーパーへ買い物がてら散歩をして歩いている途中、顔見知りのご近所さんなどと挨拶を交わしながら何時もの日常を子供ながらに楽しく過ごしていたはずがボクは立ち止まる。
立ち止まって動こうとしないボクに母は

「どうしたの?」

と声をかけてくれて手を引こうとした。

「痛い!」

と答えボクはその場で一歩も動けないほどの痛みを感じていた。
この時は右足に体重をかけると電気を流されたような走り抜けるような痛みがあり動けなかった。
ボクは痛みと歩けないことで泣いていた。
どう痛いか?なぜ痛いか?などを聞かれたと思うが上手く答えることが出来ないでいた。

ボクを抱きかかえた母は家に戻り、また痛みの症状を聞いてきたが答えられないボク。
きっと母はかなり焦っていただろうと思う。
しばらくして近くの地元では大きな総合病院に連れて行ってくれた。

診察室では診察台で整形外科の先生に足を動かされると凄く痛くて、痛い!痛い!言っていた。
レントゲンも撮ってもらいまた診察室へ。
この時のレントゲンでは何も変化が見られずに
診断は成長痛のヒドイもののように言われた気がする。
母も一安心したようでその日は家に帰ったが、帰ってからも痛いと訴えると今度は地元の整骨院へ。
一通りマッサージなどをしてもらいだいぶ良くなったように感じられた。
その日は泣き疲れたのとマッサージしてもらったこともあり眠りに就いた。

翌日、朝起きると今度はなんと左足も痛い!
両足が痛いのだ!

何かに捕まってなんとか立つことは出来たが体重が掛かると昨日と同じ痛みが走る!
朝から両親に訴える。あまり痛がるボクを心配した両親はまた総合病院に連れて行ってくれた。
またレントゲンを撮ってもらった。

病名が判明することとなった。

診察室で先生がレントゲンを見る。

「昨日撮ったレントゲンと見比べると、右足の付け根の頭骨が変形してきています。この病名は」

「ペルテス病です。何万人に1人ぐらいはかかってしまう病気で原因はまだ解明されていません。
活発なお子さんに起きやすい病気のようです。」

「左足も痛みがあるようなのでおそらく左足も同じように変形してしまうと思います。」

というようなことを仰っていたと思います。

このときのボクは痛くなくなれば治るくらいにしか考えていなかったので先生の言葉を本当に理解出来たのはだいぶ後になってからだと思う。
この先、永く付き合う一生を左右する病気であることはまだ知らない。