滑り出しは初日から順調だった。予想通り沢山の通りすがりの人々が訪れた。買い物帰りの人や親子連れが、声を潜める事なく自由に写真を見て話をする姿を見るのはとても心地よかった。彼らは僕に気軽に話しかけてきた。彼らが興味を持った写真について話をするのもこの上なく楽しかった。そして何より、作品を見て何を感じたのかを素直に聞ける自分が不思議で仕方なかった。  2日目には小林が咲とあの時一緒だった3人を連れ立って来てくれ、そして改めて僕に彼らを紹介した。  「一緒に育った僕の大切な家族です。」  それから、小林と手をつないだままでいる咲へと目を移した。  「僕は、咲が赤ちゃんの頃から知っています。あの当時咲の笑顔は僕の唯一の救いでした。」  それを聞いた咲の顔が一瞬にしてほころんだ。それはまるで、その場に大きな花が咲いた様だった。 「僕が名づけ親なんです。初めて見た咲の笑顔は、僕の心に花を咲かせてくれましたから。」 そして優しく咲を見た。 「先生、僕に咲の名前を決める様に言ってくれたのは、実はあの尞母です。彼女が僕に泉という名前をつけた日の気持ちが良くわかりました。僕の大切な大切な妹です。」 『うんうん』と他の三人も頷いた。 「僕達の愛おしい妹でもありますよ。」
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