小話 | 我流記

我流記

あんとき こんとき

寿司店の店長から聞いた話。やっともらえた休暇で、

久々の休暇で帰郷することに。とはいえ新米ゆえの薄給。

往復の汽車賃で財布は底をつき、土産を買う余裕などない。

そこへ親方から数個の卵を渡された。

”玉を焼いて手土産にしろ”と

いつもは饒舌な母が目を潤ませ、黙って箸をつけたという。


母がかみしめたのは、親方の真心、そして

息子の自分で決めたまっすぐに進んでいることへの喜びだろう。