みなさまごきげんよう。

虚構、懺悔、この世の業、ぽんぽん工房です。


赦し賜う




半年以上前に、とある友人からこの映画知ってる?と聴かれました。

タイトルは知っていたのですが、観たことはありませんでした。

観ることがあれば感想を教えてほしいと言われました。

昨日突然思い出したので観ました。


[タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツら](2010/アメリカ・カナダ)


結論から言うと「おバカ映画」「ブラックコメディ」としては十分面白いと思います。ただ、ブラックユーモアが過ぎる上にゴア描写(グロ表現)もいっちょ前なので人は選ぶと思います。かなり。

あと、あの時内容知ってるだのどうだの適当言い過ぎました。ごめんね。(私信)


今回もネタバレありです。



ストーリーをザザザっと。

山奥のキャンプ場に向かう大学生グループは道中で怪しげなおじさん2人組を見かける。行き着いたキャンプ場でも遭遇した2人を、そのイカつい見た目とそのキャンプ場で過去に起こった猟奇殺人事件から、その2人を殺人鬼だと思い込んでしまう。

一方その2人組のおじさん。彼らこそタイトルにあるタッカーとデイル。ところが、彼らは殺人鬼でもなんでもなく、ただ、手に入れた念願の別荘で休暇を過ごしに来ただけなのであった。


両グループのストーリーは同時に進むため、特にタッカー&デイル組の正体がどんでん返しとかそういうのはありません。そういう映画ではないです。


そこからは「アンジャッシュLv.100」といった展開。

冴えないおじさん組の行動が全て裏目に出、「完全なる事故」で大学生グループの面々が死んでいき、その死が益々大学生たちを恐怖に陥れる。

「そうはならんやろ」「んなアホな」のオンパレードです。


「キャンプ場(の大学生)」と「殺人鬼」は「13日の金曜日」などのスプラッターホラーで定番のシチュエーションです。「スプラッターホラーあるある」を逆手に取った演出はホラーファンなら共感できるところも多いかもしれません。

その他、おじさんコンビの1人、タッカーが蜂に驚いてチェーンソーを振り回しながら走るシーンは「悪魔のいけにえ」のレザーフェイスのオマージュですよね。あるいはただのホラーパロディか。


もう少しストーリーについて触れましょう。

事の発端は大学生グループの1人の女の子、アリソン(アリー)がケガしたところをタッカーとデイルが保護するために連れて帰ったことです。この光景を見た大学生たちがアリーが誘拐されたと勘違いしたのです。そして、アリーを取り返すための大学生たちの見当違いな奮闘が始まります。


助けに来た大学生たちと接触したアリーは行き違いであるということを必死に説明しますが、頭に血が上り、思い込みの激しい大学生たちは全く取り合いません。助けに来た側の大学生の1人が「アリーはテロリストと人質が仲良くなってしまうストックホルム症候群になっている」と言い出します。適当に聞きかじった知識で見当違いな決めつけをするという、滑稽なシーンです。


その後、大学生の救助チーム(笑)のリーダー、チャドとデイルに話し合いをさせようとするアリー。彼女は心理学を専攻しているとそれ以前のシーンで語っているのですが、「お互いのことを話して」とカウンセリングを行おうとします。さっさと自分がケガしたところを助けてもらったことを話せばいいものを。

やはりアリーもまた、ストックホルム症候群の話をした人と同じように、自分の知識を間違ったように使い、間違った行動をしてしまうのです。


勘違いによる思い込みや見当違いな行動から大惨事が起こる。思い当たるフシがありますね。


キャラクターについてですと、タッカーとデイルはいかにもなアメリカンコンビ。自分に自信が無くてやや挙動不審なデイルとそれを改善させるために励ますタッカー。この2人の軽快なやり取りもアメリカンなノリが好きな人は好きだと思います。大ケガをしながらもデイルを気遣うタッカーは本当に「いいヤツ」です。


大学生組のリーダー、チャドはアリーを助けるために暴走する1番ヤバいキャラクター。終盤、自分は過去に(今自分たちがいる)キャンプ場で起こった殺人事件の唯一の生き残りの息子であると語ります。その後、それは親戚に教えられた嘘で、本当はその殺人事件の真犯人の息子であることが判明します。

これに関しては正直要らない設定かなという感想を持ちました。勘違いバカの集団の頭なんだからこいつもただの勘違いバカの方がいいかなあと。


最後にタイトルについて。

「史上最悪にツイてないヤツら」とは当然、何もしていないのに巻き込まれ事故を食らったタッカーとデイルのことなのですが、「変な勘違いをしたばっかりにおじさん組に絡んだ結果全滅する」大学生たちのこともまた、示唆しているのかもしれませんね。

さらに原題を和訳すると「タッカーとデイル VS 邪悪」。もうブラックユーモアが過ぎるだろ。




なんとか1本記事になったかなあと思います。

それでは。