恋に落ちた☆妄想女子 -10ページ目

恋に落ちた☆妄想女子

読んでも何の得も無し。



背中に感じる、あのふかふかの布団の感触。


男の人の押さえる力。


覆い被さる身体が落とす影。


何もかもが、初めてで…。


『…風、柱…様…。』


いよいよその気になって貰えたのだと。


熱っぽく、その二つ名を囁いた。


早鐘を打つ胸の鼓動が、聞こえてしまうんじゃないかと思うくらい、速くて。


私の上に跨がる、風柱様を見上げた。


『…良いんです…、私…、ちゃんと…。』


心得てます…。


そう思いながら、瞳を閉じる。



…けど。



一向に、何も始まる気配が無い。



『…据え膳食わぬは、男の恥、たァ言うけどよォ。


…出来上がる前の膳に、手ェ付けられっかァ。』


私を布団に縫い付けておきながら。


…そんなコト、言うなんて。


でも、伝える手段が解らない。


『…子供じゃ、ない、です…。』


もう一度、伝えてみる。


キリ…と、掴まれた手首が痛い。


でも。





…胸が、もっと痛い。




『…ちゃんと、御奉仕…出来、ます…、私…っ!』


身をよじる度に。


薄紅色の肌襦袢が乱れていく。


見られている。


視線だけで犯されているよう。


でも、風柱様は。


私のはだけた胸元を、一瞥して。


『…この程度の乳なら、見飽きてらァ。(恋柱で)』


と、鼻で嗤った。


つまり。


幼過ぎて、抱く気にもならない。


…そう言われているんだ…。


やがて。


痛い位だった、私を押さえ付ける力が緩んで。


風柱様が、そのまま隣に身体を投げ出す。


『…寝る。


テメェも…もう、下がれ。


そんで寝ろォ。』


夜具に顔を埋めたまま、風柱様が言った。


本当に、眠そうに。




『…主人には、ちゃんと言っといてやる。


テメェには、何の落度も、ねェ。


…だから。』





気にすんじゃねェ。





朧気な意識のくせに。


抱いてもくれないくせに。




…私を、気遣うなんて。




疲れと眠気が限界に達したのか。


やがて身動ぎ一つ、しなくなって。


風体からは想像出来ない程、穏やかな寝息が聞こえてきた。


下がれ、と言われたのに。


離れ難くて、そっと身を寄せた。


…私の、初めてになる筈だったひと。


背中を向けられても、腕枕さえして貰えなくても。


…それでも、いい。


今日、抱かなかったこと。





…絶対に後悔させてやるんだから…。





そんな事を想いながら、私も、やがて、眠りに落ちていった。










【藤花の契 ④へ続く】