【愛を捧ぐ伝説の騎士】 全てで、真実 ③ (シオン) | 恋に落ちた☆妄想女子

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読んでも何の得も無し。




『…姫!



○○姫どうか、部屋からお出でになって下さい!』



コンコンと、ひっきりなしにノックの音がする。



…心底心配そうな、リュートの声。



『…あぁ姫!



一体どうされたのですか!



…もう3日も、何もお召し上がりになっては無いではありませんか!



お身体を壊してしまいます、…姫!』



大袈裟でなく、悲痛なその声を聞いていると、胸が痛むのだけど。



…ごめんなさい、リュート。



…今は。



今まだ、上手に作り笑いが、出来そうに無いの…。



『…姫。』



今度は低い。



ガイアさんの声。



『…パレードなど、参加されずとも良いのです。



姫が意にそぐわないのであれば、



前夜祭、後夜祭の式典も全て、お出にならずとも良い。



…ですが。



部屋からは、出て来ては下さいませんか?



…国王陛下…いえ、お父上もご心痛で、



伏せってしまいそうな勢いなのですよ?』



…ガイアさんにそう言われると。



さすがに、良心が痛む。



…けど。



『おい!



いつまでそうやって閉じ籠もっている気だよ全く!



さっさと出て来いよ、○○!』



『なっ!



姫に対して、なんという言葉使いをするんだ、ケン!』



『いいんだよ、お前が必要以上に姫扱いしてんだから。



…○○!



…○○っ!



…ったく、テメェも何とか言えよ!



…この原因は、お前なんだろーが。





シオンっ!』





苛ついたケンの叫び声がした。



ドアの向こうの気配に、全神経が集中する。



『なんだよ、…面倒くさいなぁ。



本人が出て来たくない、つってんだからいーんじゃない、別に。



子供じゃないんだからさー。



それより、もっと他にやることあるんじゃねーの?



こんな幼稚なワガママに、付き合ってる場合?』



…ワザと聞こえるように言ってるとしか思えない、シオンの声。



…傷口は、さらにえぐられて血を流す。



…やがて。



諦めたのか、ドアの前は。



静かになって、陽が落ちた。






…お腹空いたなー…。



ベッドの上に、横たわって。



バルコニーへと続く窓の縁から見える、満月を見上げていた。



いつまでも、こんなコトしてられない、って、解ってる。



私はもう、ただの村娘ではなくなってしまったのだから。



私という存在が、この国で果たさなければならない役目。



『王女』で在るという事から逃げないと、私も私に、誓ったのだから。



…独りじゃない。



騎士団の皆がいて…。



そして。




…シオンが、いたから…。




『…シオン…。』




ふと呟いた名前。



切なくて、ぎゅ、とクッションを抱き締めた。



名前を呼ぶだけで、胸が掻き乱されて。



…こんな時でも、真っ先に感じるのは。




…シオンに対する、愛しさだった。




…王女、…失格ね…。




だって…私。




…シオンが望むなら、この国すら…、。




そんな事を考えていた時だった。



バルコニーの窓辺に、ゆらりと映る人影。



いとも容易く、窓の鍵を外すと。



カーテンを揺らして、私を見下ろす。



背中越しに照らす満月で、影になったシルエット。



…でも。



怖くはない。




『…これだから、面倒なんだ。



王女なんて…。』




『…シオン!』




慌ててベッドの上に身を起こす。



怒っていたコトも、忘れてしまう程。



あなたの姿を見て、歓喜で胸が震えた。



『…こんなのバレたらオレ、軽く首が飛ぶんだぜ?



解ってないだろ、アンタ。』



恨みがましい台詞だけど。



その声音は、諦めと自嘲に満ちていて。



胸が詰まって何も、言えないでいる、…私。



『…だから、嫌だったんだ。



こうなるコトくらい、簡単に予測出来てた。



…だから。





…アンタにだけは、惚れたく無かったのに…。』





ギシ…と、柔らかなベッドが軋む。



声にならない声で、名前を叫ぶ胸の中。



『…泣くなよ…。



…頼むから。



…俺の為に泣いてんだって。




考えただけで、おかしくなりそうなんだよ。』



『…シオ…っ!』



緩やかな力で、抱き締められる。



その身体を、温もりを。



離したくないから、私も強く、抱き返した。



『ただの騎士の分際で、王女であるアンタに惚れちまうなんて…。



馬鹿意外の、何モンでもないだろ。



だけど…○○。



とっくに、覚悟なんて出来てる。



アンタに忠誠を誓った、あの日から。





…アンタは、オレのモノだから。





誰にも渡さない。





…それを、解らせに来たんだ。』





泣きながら、その口づけを受け入れた。



…甘く、優しく。



私という果実を、味わうように繰り返される。





…シオンのキス。





口移しで伝えられる想いに。





溶かされようとしていた。







【全てで、真実 ④ へ続く】