むせかえるバスルームの熱気。
息苦しいのは、その熱気のせいだけじゃない。
まだバスタブに浸かったままの、一くんの目の前で。
海綿のスポンジに、ボディソープを高い位置から、トロリと垂らして見せる。
指先で少し、お湯を注いで。
優しく揉み込むと、みるみるうちに真綿のような泡にまみれてゆく、指先。
バスルームに満ちてゆく、ボィソープの甘い甘い香りは、ジャスミン。
その香りが呼び覚ますのは…、
濃密な、官能。
淫らな雰囲気が濃くなるにつれ…。
反応してしまう、素直なわたしのカラダ。
ダメよ、こんなんじゃ…。
せめぎ合う羞恥と欲望の狭間で、自分を叱咤する。
誘っているのは、わたしの方なのに…。
…見られている。
その事実に、たまらず、確かに、興奮していた。
泡立てたボディソープの泡を、手の中で弄ぶ。
その指先に釘付けになっている、一くんの視線。
その、迷子のような瞳がいたいけで…。
…欲情した。
『…一くん。
早く…上がって?
キレイに洗ってあげる。
全部。』
ふぅっ…と、優しく息を吹きかけると。
ホイップクリームのような泡から、シャボンがふわりと。
柔らかく、2人の間を漂った。
…かわいい。
…一くん。
何かを言うより、正直なその表情が。
わたしのどこかに、火をつける。
『……○○。』
苦しそうに吐き出された、わたしの名を呼ぶその声は、切なくかすれていて。
…あぁ、一くん。
…これ以上…焦らさないでよ…。
視線で告げたのに。
その視線で拒まれる。
眉根を寄せ、抗う瞳
。
何を、する気だ。
…そんなセリフが聞こえてきそう。
でも、ダメよ。
もう遅いの。
『…一、くん…?』
差し伸べた手を、取ろうとはしない。
しっとりと汗ばむ胸元から。
布の色が変わり、くっきりとカラダのラインを浮き上がらせていく。
そんなはしたないわたしの、淫らな姿を目の前にして。
…目を逸らしてしまう、一くんは。
…とても、可愛いと思った。
『…一くんってば…。
…こーゆーの、キライ…?』
そんなワケない。
だって、強張ったように微動だにしない、バスタブのその中で。
…アナタ自身が、どんな有様かなんて。
想像がつくもの。
キライじゃないわよね。
真っ赤になって、…のぼせちゃうよ?
焦れたわたしは、とうとう。
一くんの、腕を取る。
『…のぼせちゃうってば。』
クスクスと笑って、その腕を引き寄せると。
思ったよりすんなり、バスタブから出てくれた。
『……っ、…。』
観念したのか、大人しく。
“あるがままの自分”
を、晒してくれる。
…脈打つのまでハッキリと判るくらいに、硬くなっているソレを。
じっと、見詰めてから。
一くんの、視線を捉える。
『…ヤダ、…もうこんなになってる。』
『っ、…!!』
立ったまま、ぴったりとお互いのカラダを密着させて。
…くちゅ…、と。
最初から舌を絡ませて、キスをした。