恐る恐る送った最初のLINE。当たり障りのない話題を振って、差し障りのない返事をもらう。


「もうお夕飯も終わった頃ですよね!ゆっくりされてる時にすみません!」


差し障りのない会話だが、その中の気遣いが素晴らしい。本当に16も年下かなと感心する。


久々の恋愛に心踊って、でも自分の気持ちに気付かれてはいけなくて、必死に言葉選んで、直ぐに返したいのに時間あけて…。


でも彼女はそんは俺の気持ちを見透かしていたようで。少し距離をあけようとする言葉も送られてくる。年齢も立場も自分の状況も。全てが彼女との溝でしかない。


それでも夜中に送ったLINEが朝に帰ってきて、出勤までに数回のやり取りをして、昼休憩にまたLINEでやり取り。退社してから夜寝るまでやり取りが続き…。これは俺の勘違いかな?それとも社内の人間だから気を使われてるのかな?少し意地悪な事も聞いてみる。


「嫌じゃないですよ。むしろ楽しいです。」


これは俺の勘違いなのだろうか?いや!ありえない!きっといい様に捉えているたけだ!


でも…もしかしたら…


そんな淡い期待を込めた思いが少しずつ膨らんで来ていた。この時の自分はありえない奇跡を少しだけ信じてみようと思っていたのだった。