the bad, bad economist
読むのが面倒なエントリをします。(いつも?)
レーガン時代の経済政策(レーガノミクス)がブッシュ政権下と同じぐらい普通のひとに不利で富裕層に有利だった、というのは多分常識だと思うんです。ノーベル賞受賞者のPaul Krugmanがそういったレーガノミクスの弊害について有力な議論を展開したはずですが、Krugmanは間違っていると主張するAlan Reynoldsの記事(National Review) というのが送られてきました。もちろんBFから。苦笑
まあレーガン批判してるあたりでKrugmanはレパブリカンには人気ないはずですが、なぜ今Krugmanがここで問題かというと、レパブリカンの意見を盛り込んだ最新バージョンのStimulus planでは一番重大なところがカットされてしまっている 、という分析をして一時的にであれ一手に保守派の敵意を引き受けることになったからだと思います。私は経済にあまり(ていうかもうすごい勢いで全然)興味ないので、「めんどくさ~(I so don't care)」と思って無視してたのですが、一応読むことにしました。
私は経済の専門家じゃないです。でも、ふつうに読んでて論理的にこの記事すごく無理がある。
Krugman’s column insisted that Reaganomics “did fail. The Reagan economy was a one-hit wonder. Yes,
there was a boom in the mid-1980s, as the economy recovered from a severe recession. But while the rich got much richer, there was little sustained economic improvement for most Americans. By the late 1980s, middle-class incomes were barely higher than they had been a decade before—and the poverty rate had actually risen.”
(クルーグマンはレーガノミクスが「失敗だった」と主張している。「レーガンの経済政策は"One-hit wonder" にすぎない。確かに、1980年代半ば、景気が回復するにつれて経済的なブームがあった。しかし、富裕層がさらに富んだ割にはアメリカ人ほとんどにとっては事態はあまり改善されなかったと言っていい。1980年代後半になっても、中流の収入は10年前とあまり変らず、貧困率は上がったのである。」)
This suggests the entire period from early 1983 to mid-1990 was nothing more than a routine recovery from recession. That is wrong. Real GDP peaked in the first quarter of 1980 at $5,221.3 billion, measured in 2000 dollars. By the first quarter of 1983, real GDP reached $5253.8 billion; the economy had already passed from recovery to expansion. Industrial production hit 59.5 by 1984—well above the peak of 56.6 in 1979.
(これによると1983年から1990年半ばまで起こったのはただの普通の景気回復だったかのようである。これは間違いだ。1980年最初のクオーターでGDPは$5,221.3Billionというピークを迎えた。1983年の最初のクオーターでGDPは$5,2538Billion にあがった。景気は回復を通り越し、盛り上がりをみせているのだ。工業生産は、1979の56.5から1984年の59.5とはるかに上回ったのである。)
ポイントがずれてると思うんだよね。Krugmanは、"Yes, there was a boom"と言ってるんだから、ただの景気回復以上のものがあったと認めてるわけです。景気回復以上の盛り上がりがあったという統計を持ってくる必要はない。ブームがあったとしても、ほとんどのアメリカ人には影響がなかった、という肝心なポイントについては何の反撃も出来てない。
”By the late 1980s,” wrote Krugman, “middle-class incomes were barely higher than they had been a decade before.” That is because he compares 1989 with 1979, not 1980. Real median family income fell 3.6 percent in 1980 alone, but rose 9.7 percent from 1980 to 1989.
(「1980年代後半になっても、中流の収入は10年前とあまり変らず」とKrugmanはいうが、それは彼が1989年と1980年ではなく1989年と1979年を比べてるからだ。1980年に平均所得は3.6%落ちたが、1980年から1989年にかけては9.7%あがっている)。
これは統計見ないとわからないので、調べてみたらこれはすごい詭弁であることがわかった。
確かに所得平均は1979年のほうが1980年よりも数値的には高い。けど、こうやって見ると年収$40,000から$45,000の幅に、という意味ではあまり変ってないし、厳密に言えば1979年にはじまろうと1980年にはじまろうと1987年ぐらいまで普通のひとの収入は変らないってどころか実はえぐれてる(減ってる!)じゃないですか!ちょっとおじさん!ただややこしいこといってるだけじゃん!
Krugman’s claim that “the poverty rate had actually risen” relied on a graph from 1976 to 1990. The poverty rate fell from 13 percent in 1980 to 12.8 percent in 1989. Poverty averaged 14.1 percent from 1993 to 1997 and did not get back to the1989 level until 1998.
(Krugmanは「貧困率は上がった」といっているが、それは1976年から1990年のグラフを基にした統計である。1980年から1989年の統計をみれば、貧困率は13%から12.8%に減っている。1993年から1997年までの貧困率の平均値は14.1%にあがっていて、1989年レベルまで落ちるのは1998年までかかっている。)
じゃ、見てみます。
数値的に13%と12.8%、っていわれると80年から89年までとまるで全然変化がなかったかのような印象受けるけど、グラフみるとこの80年から83年のすごいあがり方はどうなの?明らかに70年代と比べると80年代はあがってる、っていうのがKrugmanのポイントでしょ。折れ線の具合を見るんだから、この場合は1970年代からはじまるグラフを使う方のは当たり前だと思う。あと、90年代の14.1%ってなんでそこでいきなり平均値?80年代の平均値はどうなんですか?
このグラフを使わないで数値だけ並べて煙に巻く手法がいやらしい。事実を追求するために頭を使う経済学者じゃなくて、レイジーな保守派に都合のいい詭弁をいかにもっともらしく考え付くかということに頭を使う経済学者なんて、最悪。最も悪いと書いて最悪と読む。
だったらつきあうのやめれば?っていうところにいつも来ますね。
彼はこういうインチキが見抜けないんじゃなくて、見抜きたくないんだと思います。まあ、私の場合も彼のそういう問題点が見えててもまるでそれが見えないかのようにつきあい続けてるわけで。
Krugmanがんばって!!
