台風がやってきた夜
どこかの窓に隙間があったのかな
女声合唱のような恐ろしげに美しい風の声が
一晩中きこえていた
古い我が家が
なんとなく揺らされているような気がして
めずらしく熟睡できなかった気がした
三匹のこぶたの話なんかがふと頭をよぎったりした
台風一過
いつもの空よりも深い青い空
9月の日差しはまだするどく、まぶしかった
台風が連れ去った雨雲はすでに跡形もなく
おいてけぼりのような白い雲が
気の抜けたため息のように
ここかしこに浮かんでいる
高台にのぼって
はるかに広がる山々や田畑
遠くのまちの屋根を一望しながら
このどこまでもつづく青空を
思いっきり抱きしめたい
太陽のビタミンを一身にあびながら