"心を研ぐ~包丁研ぎ職人"坂下勝美さんの仕事の流儀

昭和18年生まれ。
20代前半で研ぎの世界に入り、水産加工やと畜場など、
多様な刃物に関わった後、
自ら作る道具を使い、刃付けから研ぎ、柄付けまで一貫して行う。
包丁研ぎ一筋53年、料理人を魅了する伝説の職人
庖刃工芸士 坂下勝美さん

    
 

<いつも口にする一言>
『包丁は研ぎで決まる』
包丁のいい悪いというのは、値段じゃない、作った人でもない、研ぎをどうするか

<切るという料理>
包丁の設計をし、鍛冶職人が作った包丁を”研ぎ下し”する仕事と、
包丁の”研ぎ直し”の仕事

『包丁の切れ味が決まるのは、角度と”空気の通り道”があるかないか』
鋭いだけではなく、食材との接触をできるだけ減らす。
一番肝心なのは、食材との摩擦を無くし、食材の繊維を崩さず乱さないこと

<目指す頂>
『”切る”ではなく”切れる” 切れる包丁』
切れるっていうのは、自然にモノが切れていく。
一つのモノを二つに分けるのが包丁だというものではない、
切られる側が、”ニコニコ”っとする表情がだせるようになれば、
一番幸いかなと思うよね。

切れ味、野菜そのものが喜んでいる。

<母に教わった大切な言葉>
『人の心はニラの葉に包まれる』
(細く繊細なニラの葉で包むように、人の心は繊細で細やかなもの

<包丁に込める心>
包丁一本でも、見えないところでも、ちょっとしたことでも、忘れず、気を配る
小さなことの積み重ねが、大きな形になって、成熟度が増してくる。

『目指すは、使う人と共に歩み、成長する包丁』
使う人の”癖”を見抜き、同じ繰り返し(刃が欠けること)があまり出ないよう、

心持ち角度をつける。

使ってくれる人が、成長してこそ、初めて仕事として、できたわけでしょう。

『包丁は生きている』
使う人次第で、どんなにも包丁は変わる。

研ぎ師になって30年で、やっと認められるようになった。

使う人のことを思い、一生懸命になって、手間暇をかけたら、いつか相手に通じると、
何ができるかを考え抜いた

変化する時代
従来の仕事の手順で、繰り返しやるんじゃなくて、
一本一本、どう研いたらいいかってことを、ずっと見ていかないと、
進化ってあり得ない。

<プロフェッショナルとは>
『古いものを知って、それを勉強することによって、
 新しいことを産み出してゆくことに挑戦することが、
 プロとしての仕事のありかた』

 

NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」より エッセンスをまとめました