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i am so disappointed.

「夏はただ単なる季節ではない。それは心の状態だ」という訳で、赤い背表紙が町の小さな書店でも映える片岡義夫の小説本を角川文庫で読み漁っていた中学生時代とはほとんど変わらぬメンタリティー(精神性)で、lyrical school「夏休みのBABY」の如く「夏最高!」とはしゃぎ回っているのは例年と同じだが、やはり冷たい麺を食べる機会が増えるというものである。というか、冷たい麺を食べることによって夏を感じるというか、夏を刻みつけるというか、そんな気分なのです、なんて言っちゃったりなんかしたりして(広川太一郎の洋画吹き替えをイメージして)。

 

ということでここからは、iPhoneのカメラロールを見てこの夏に食べた様々な麺についての感想や意見のようなものを書いたり画像を貼ったりしながら、適当にやっていきたい。それで、7月の初めぐらいには明大前駅からすぐの名店、香港亭に行くことが一時的に個人的なムーヴメント化し、やはりチャーシューワンタンラーメンなどの麺を注文したりもしているのだが、早くも冷たくはない温かい麺であったりしてチト(河内)意図していた感じとは違う。やはりまだ梅雨が明けていなかったりして、心から夏という気分にまだなれていなかったのではないかということが推測される。しかし、この店は名大前においていかにも地元の人々から支持されている中華料理店というようなグルーヴが感じられ、店員同士の中国語による会話がエキサイト気味な場合があることも含め、かなり良い。こういうのが実は一番良いのかもしれない、と思うようなことが一年に12〜16回ぐがいはあるような気がする。

 

 

 

その後は名代箱根そば千歳烏山店で冷しコロッケそばを食べた日などがあったようなのだが、これなどはただの日常なのでそれほど言及するべきことでもない。それで思っていたほど夏になってから麺の写真を保存していなかったなと思っていたところ、7月20日にやはり名代箱根そば千歳烏山店の元祖冷し豆腐一丁そばである。

 

これは冷たいそばの上に大きな豆腐が一丁そのまま載っているという、ビジュアル的にもひじょうにインパクトのある毎年恒例の夏限定メニューである。名代箱根そばは小田急レストランシステムが運営しているのだが、なぜか京王線沿線の千歳烏山、しかも以前に住んでいたマンションのすぐ近くにある。毎年、ポスターが貼り出される度に気にはなっていたのだが、結局は冷しかき揚げそばなどの無難なメニューを選んでしまうことが多かった。しかし、今回はなぜか夏を本格的にはじめるにはこれなのではないかというような気がして、これにしたのだ。

 

確かに見た目のインパクトはかなりのものである。この夏限定メニューは、なんと昭和時代から続いているということで、安定した人気があるのだと思われる。冷たいそばに大きめの豆腐が一丁そのまま載ったものから想像できるそのままの味わいだったが、夏らしくてなかなか良かった。あと、実際のところかなりのボリュームでもあるので、そういった意味でもお得感がある。

 

 

 

翌日は7月21日、水曜日で世間一般的には4連休の前日だったのだが、個人的には訳あって取引業者や版元などを飛び回っていた。とても暑い日であった。神保町とか九段下とかその辺りにいたのだが、神保町には丸香というトップクラスにお気に入りの讃岐うどん店がある。しかし、この日は夏がはじまっているにもかかわらず、まだ中華そばを食べていないのではないかという気分になっていた。ちなみに私が高校生の頃まで住んでいた北海道では、いわゆる冷し中華のことを冷しラーメンと呼ぶ。それはそうとして、いまやすっかり都会の絵の具に染まってしまったので、冷し中華と平気で呼んでいる。近所で冷し中華が食べられる店を探していたところ、なんと日本で初めて冷し中華を提供したといわれている中華料理店が神保町にあることが分かった。Googleマップを頼りに歩いていくと、アイドル雑誌のバックナンバーや写真集の古本などでお馴染み、荒魂書店のすぐそばということが分かった。

 

揚子江菜館という店で、昭和8年に初めて提供されたという元祖冷し中華は五色涼拌麺というメニューである。当時の店主がもりそばにヒントを得て、開発したのだという。麺の上に糸かんてん、チャーシュー、きゅうり、たけのこ、錦糸卵、エビなどが盛りつけられ、富士山をイメージしたという見た目も楽しい。しかも麺の中にはうずらの卵と肉団子が入っていたりもする。スープには酸味があって、涼しげでなかなか良かった。平日のランチタイムにはサービスで確かシューマイか杏仁豆腐をつけてくれる。

 

 

 

7月26日、月曜日。この日から2週間ほど限定で新宿で仕事をすることになっていたのだが、期間中、近所の良い店に食べに行けるぞとわくわくしてもいたかもしれないのだが、いろいろあって心臓のドキドキの方が上回っていた。それで、当日も朝から泣きながら印刷物を取りにいったりもしていたのだが、少し早く着いてしまい、そういえばランチにいつありつけるかもまったく分からない状態だったので、とりあえず何か食べておこうと朝早くでもやっている飲食店を探したところ、小諸そば新宿新宿南口店というのがあることが分かった。おそらく完全にどうでもいい時間にiPhoneで立ち食いそばチェーン人気ランキングのようなものを見た記憶があるのだが、名代富士そばに次ぐ2位がこの小諸そばだったような気がする。しかし、生活圏になかなか店がなく、利用した記憶がほとんどなかった。とはいえ、2015年に日本武道館のモーニング娘。'15のコンサート前に入った店がもしかすると小諸そばだった可能性はある。

 

それで、この小諸そば新宿南口店に行ったのだが、確かに朝早くからやっている上に、メニューがいろいろ豊富でなかなか楽しい。そして、この日から2週間に待ち受けているであろう多忙さを考えると、健康面に潜在的な不安があり、そういったハートをクリティカルヒットすべく、健康オ野菜ぶっかけそばというメニューが目に入った。お野菜ではなく、オ野菜である。これは、オニオンスライス、大根おろし、オクラのことらしい。ボリューム面で若干の不安を感じたりもしたのだが、いなりセットが買いやすかったのでそれにした。なんとなく健康で爽やかな気分になれたのでよかった。

 

 

 

7月28日は会社から認められた休日だったのだが、印刷会社に証紙のようなものを届けたりしていた。そうこうしているうちに、高校を卒業して上京した当時に住んでいた千石とか巣鴨とかが近かったのでその辺りを散策しているうちにノスタルジアの迷宮に迷い込んだ。大橋荘はベルメゾン大橋になり、大鳥神社の近くにちゃんとあるが、草津湯やコーヒーおかわり無料の喫茶店、あべにゅーはもうとっくに無い。そして、カセットテープが安かったのでよく買っていた写真店があったビルまで、取り壊し工事の気配を感じさせていた。地蔵通り商店街を散策したりカジュアルな飲酒をしたりして適当にやりつつ、新宿の京王モールにあるどうとんぼり神座新宿京王モール店で冷たいおいしいラーメンというやつを食べた。

 

冷たいおいしいラーメンというメニュー名は日本語としてチト(河内)おかしいのではないか、正確には冷たくておいしいラーメンなのではないか、というような意見もあるのではないかと思われるのだが、元々がおいしいラーメンというメニューの冷たい版なので、冷たいおいしいラーメンでまったく問題はない。このどうとんぼり神座というラーメン店は大阪で人気のチェーン店として、確か00年代の半ばあたりに東京に進出して、歌舞伎町の方に出店していたのではなかっただろうか。当時、くるりやGRAPEVINEが好きで「ロッキング・オンJAPAN」に強く影響を受けている、つまり個人的にどストライクな20代の女性に連れていってほしいと言われて行った記憶がある。ラーメン店だというのに、椅子がカフェバーぐらい高いのが印象的であった。その後、渋谷のセンター街にもできたのだが、数年前には渋谷GladでのWHY@DOLL定期公演の一部と二部との間などに行くこともあった。

 

冷たいおいしいラーメンについては、なるほど、おいしいラーメンの冷たい版だなと感じたが、キムチときゅうりなどが入り、冷し中華感が出ているのがなかなか良かった。しかし、こうなると温かい方のおいしいラーメンも久しぶりに食べたくなったりもした。

 

 

 

7月29日、木曜日は南新宿のうどん慎に行っている。新宿近辺で最もおいしいうどん店なのではないかという声もあるようだが、個人的にもその可能性は高いように思える。うどんがとても美味しいだけではなく、見た目にも美しい。いろいろなメニューがあるが、おそらくすべて美味しいと思われる。この日はぶっかけうどんにしたのだが、わりとスタンダードな半熟たまご、ちくわに加え、レギュラーメニューには載っていない活ほたての天ぷらがいまならばあるということだったので、それも注文した。やはり納得のクオリティーであり、確かなものを見失いそうになった時にまた食べに来ようと強く感じた。

 

 

 

新宿でうどんといえば、西新宿の創作うどん一滴八銭屋も忘れることはできない。ここは夜はうどん居酒屋としても活況を呈していたようなのだが、コロナ禍のこのご時世で現在はそれもままならぬようである。四国の黒うどんなど、変わったメニューもいろいろ提供しているのだが、うどんがとにかくとても美味しい。ごく一般的なうどんもおそらく美味しいのだが、創作うどんがいろいろ攻めているだけではなく、いちいちちゃんと美味しくて最高である。クリーミーな名物白うどんというのが一番人気で私も大好きなのだが、7月30日に行ってみたところ、じゃがいもの冷製スープうどんを夏季限定でやっていたのでそれにしてみた。

 

和のだしをベースとしたビシソワーズがイメージされていて、スモークサーモンが入っている。もちろんうどんそのものも、しっかり美味しいのだが、トータルでこれはもう一つのアートフォームといってもいいのではないかというぐらいに素晴らしい。このメニュー自体、20年近く続いていて、夏の人気ナンバー1メニューだということなのだが、それも納得のクオリティーである。いや、これは良い。

 

 

 

8月4日には、やはりどうとんぼり神座のあたたかい方のおいしいラーメンが食べたくなり、京王モールの店に行って食べた。安定の煮卵トッピングである。ちなみにこの店だが、券売機が外にあってクレジットカードや電子マネーなども使えるのだが、これが買いやすくてとても良い。まったくの余談だが、私の現在の妻は知り合った90年代の半ばぐらいの頃、グラフィックデザイナーの仕事をしながら夜はこの京王モールにかつてあった大原女というちゃんぽん店でアルバイトをしていた。

 

 

 

8月5日、木曜日は8(はち)と5(ご)で「はこ」なので「箱そばの日」ということで、名代箱根そばの箱そばスペシャルが一日限りの復活を果たした。この箱そばスペシャルというのは数ヶ月前まで、毎月最終月曜と火曜あたりに限定で食べることができた、とにかくいろいろなものをのっけたボリューム満点のそばのことである。こんなに食べる必要はなく、むしろ個人的にはかなり多すぎるぐらいなのだが、これはイベント的にも食べておかなければいけないという気分になった。ちなみに小田急線の新宿駅近くには箱根そば本陣というのがあるのだが、ここは名代箱根そばとはチト(河内)メニューが異なっている。あと、あくまで外から見た感じなのだが、完全な立ち食い店なのではないかと思われる。立ち食いそば的な店にもわりと入りがちなわりには、ちゃんと椅子に座って食べたい派の私はまだ入ったことがない。それで、名代箱根そば新宿西口店に行って、箱そばスペシャルを注文した。まったく予測の範囲内の内容だが、かき揚げ、えび天、コロッケ、温泉玉子、肉、大根おろし、ワカメと、やはりどうかしているボリュームではある。

 

 

8月6日、金曜は会社から認められている休日ではあったのだが、朝からバタバタと動き回っているうちになぜだかどんどん仕事が増えていくという夢のような謎のスパイラルに入り、結果的に通常の勤務日よりも長く働いているという楽しげな一日になった。まだこうなることすら知らない幸せな午前中、まだ混まないうちに麵屋海神に行って、あら炊き塩らぁめんの今回は辛い方を注文した。

 

この店は新宿駅のフラッグスなどがある方のエスカレーターを下りて行き、少し歩いたところにあるビルの2階なのだが、旬の魚を用いたスープがひじょうに特徴的である。使う魚の種類は日替わりになっていて、店内に大きく貼りだされている。ルミネtheよしもとが近いこともあり、店内には人気お笑い芸人のサイン色紙などもたくさん貼られているのだが、遠目からも真っ先にすぐに分かるのが吉本興業所属ではないメイプル超合金のそれである。具はつみれとつくねで、ヘルシー感もありながら満足度も高い。焼きおにぎりとのセットがあるのだが、麺を食べ終えた後に残ったスープにこれを投入して食べる方法が推奨されている。へしこ焼きおにぎりというやつなのだが、へしこの意味が分からず調べてみたところ、どうやら青魚を塩漬けにした上に糠漬けにした料理のことらしい。この日はいろいろ大変なこともあったのだが、午前中に麵屋海神であら炊き辛塩らぁめんへしこ焼きおにぎりを食べたことによってすべて帳消しになるレベルのクオリティーである。

 

 

 

という訳で、結論として夏最高、麺も最高ということで、最後にlyrical schoolの「夏休みのBABY」を聴きながらお別れすることにしたい。ご機嫌よう、さようなら。