新潟を拠点として活動する4人組女性アイドルグループ、RYUTistが今年の7月14日にリリースしたオリジナルアルバム「ファルセット」はひじょうに素晴らしい内容で、個人的にもかなり気に入っている。発売から約3ヶ月半となる10月24日に、「ファルセットよ、響け。」と題された配信ライブが行われた。新型コロナウィルスの感染拡大を防止する必要から、現在、観客を入れてのライブがひじょうに困難な状況となっているが、その分、無観客ライブをインターネットで配信するということが、割と頻繁に行われている。実際に会場で生で観るライブと同様の体験ができるわけではもちろんないが、配信ならではの工夫が凝らされていたり、当日に参加できない人たちも都合の良い日時にアーカイブ視聴ができるというような利点もある。

「ファルセットよ、響け。」の告知を私が初めて見たのは、開催の数週間前であった。日程が土曜日ということで仕事と重なっていたのだが、開始時刻が18時ということなので、終業してすぐ見はじめれば間に合うな、とも思っていた。配信は無料で、しかも野外だという。さらにはバンドセットということで、なかなか気合いが入っているなとは思ったのだが、具体的にはあまり想像ができていなかった。

結果的に、素晴らしい内容であった。楽曲の魅力がバンドセットでのライブによって、さらに拡張していくような感覚があった。アイドルグループがバンドをバックにライブを行うことはそれほど珍しくもないのだが、このライブにおいては、ただ音源をバンドの生演奏に置き換えただけというのではなく、グループとバンド、それぞれのパフォーマンスが互いに作用し合いながらも一体化し、素敵なグルーヴを生み出しているようなところが感じられた。それは、画面のこちら側で観ていた私たちにも確実に伝わっていたのではないだろうか。

RYUTistというグループには、アイドルとしての多方面での活動というよりは、地道なライブ活動と良質な作品の継続的なリリースによって成長してきたという印象が強い。メンバーそれぞれにも、良い音楽を届けようという意識がひじょうに強いように思える。それは、たとえばこのライブにおけるバンドメンバーに対するリスペクトにもつながっていたような気がする。アイドルというよりは素敵なポップスが好きなだけの私のような者をも魅了してしまうのは、こういう部分によるのではないだろうか。

この日の新潟は雨であり、リハーサルはひじょうに過酷な状況の中で行われたという。開始時刻が遅れ、19時からとなったが、はじまってすぐに雨は止み、終わる直前にまた降りはじめたのだという。これも良い演出になったように思える。

このライブは1000円のチケットを購入することによって、10月28日の水曜日までアーカイブ視聴できることになった。つまり、これを書いている現時点で、時間はそれほど残されてはいない。そして、その最終日の20時からは、「ファルセットを、呟け。」なるオンラインイベントのようなものが開催されることが決まった。

これは、アーカイブをみんなで同時に視聴しながら、感想のようなものなどをTwitterで呟いていくという内容なのだろう。RYUTistのメンバーやクリエイターなども、これには参加するものと思われる。

私はこういう配信ライブの一過性のようなものもわりと良いなと思っているタイプでもあるため、同じチケット料金で期限まで何度でも視聴できるコンテンツであっても繰り返しは観ない派ではあるのだが、こればかりは楽しそうなのでいまのところ参加してみようとは思っている。

月曜日の夜にはこのイベントのようなものの前前夜祭ということで、ライブの1曲目に披露された「きっと、はじまりの季節」だけがYouTubeで配信され、それは現在も視聴することができる。

RYUTistのことは良質なポップスを届け続けてくれているグループとして、以前からわりと好きではあったのだが、今回のライブ配信を観て、さらにグッと好きになった。あまりにも良すぎて、その感想のようなものについてはその日のうちに文章でまとめて、以下のブログ記事として公開もしたのだった。

RYUTist ONLINE「ファルセットよ、響け。」について。

RYUTistのイメージといえば、明るくて元気でピュアというものであり、最近は少し大人っぽい楽曲もやってはいたものの、基本的にはそのような印象であった。それが今回、夜の野外でのライブという舞台装置もあってか、クールでシックな一面も見られてとても良かった。個人的にこういう感じというのは大好きではあるのだが、RYUTistには期待していなかった。それが、こういったタイプの魅力をも備えているとなると、もはやベクトルは完璧へと向かっているのではないかという気もしてくる。

あとは、とにかく楽しそうなのがとても良い。いろいろとネガティヴなことが多すぎる世の中で、そのような事柄に苛まれたり病みかけたりしているオーディエンスも少なくはないと思うのだが、RYUTistのパフォーマンスであったり、メンバー同士やバンドとの絡みなどを観ていると、世の中にもまだこんなにも良いものが確実にあるのだな、ということが認識され、肯定的な気分にもなれる。

そういったわけで、10月28日水曜日の20時に、RYUTist AFTER LIVE「ファルセットを、呟け。」に参加する人の数だけ、世界にはしあわせが広がるのではないか、というような気分でいまはいっぱいなのであった。

チケットは下記のサイトから購入できるようである。

RYUTist Online Live 「ファルセットよ、響け。」チケット購入(2020年10月28日22:00まで）

ファルセット

Amazon（アマゾン）

2,500〜5,771円

RYUTist AFTER LIVE「ファルセットを、呟け。」が開催されることについて。