電気系会社の場合、電圧や抵抗を正確に測定するという行為は必須な訳ですが、マイコン太郎君の会社ではアドバンテストのR6871Eという古いデジタルマルチメーターがあります。かなり古いですが定期的に校正して使用しています。
今回、低抵抗、例えば1Ωの0.1%台の抵抗値を読みたくて、テスターでは読めないので、R6871Eをエッチラ机の上まで運んできて電源を入れましたが、入力をショートしてもオフセットが取れない。上の写真では0.31828Ωの抵抗値が表示されたまま。マニュアルによればNULLキーを押せばいいみたいなんですが、Error4が出てしまう。Error4ってなんだ? AIに聞いてみると
私の質問:R6871E Error4
Geminiの回答:
- 内部メモリ(ROM)の不具合: 内部のプログラムROMが経年劣化等で物理的に破損、あるいはデータが化けている可能性があります。
- バックアップ電池の消耗: R6871Eは製造から長期間経過しているため、内部のバックアップ電池が切れていることが多く、これが原因で設定や校正データが正しく読み込めずエラーを誘発することがあります。
とのこと。電池の電圧は基板通電時、3.7Vあり問題ありません。
私からGeminiへ質問:内部メモリはM28C16A?(基板上に気になったICがあったので)
Geminiの回答:
はい、R6871E の内部には M28C16A(パラレルEEPROM)が使用されています。
海外のエンジニアによる実機の分解レビュー(EEVblog)によると、基板上に 28C16(16Kbit パラレルEEPROM) が複数搭載されていることが確認されています。
内部メモリの構成と役割
R6871E のメモリ構成は、主に以下の3種類に分かれています。
- プログラムROM (EPROM):
- 窓付きのセラミックパッケージ(27シリーズ等)で、制御プログラムが書き込まれています。
- Error 4 が発生している場合、このROMのデータ破損や接触不良が疑われます。
- 校正データ用メモリ (EEPROM - 28C16A):
- 校正値(キャリブレーション・データ)を保存するために M28C16A などのEEPROMが使用されています。
- このチップは書き換え可能なため、電池が切れても校正値自体は保持される設計ですが、チップ自体の寿命やデータ化けが起こる可能性はあります。
- 設定保持用メモリ (SRAM + バックアップ電池):
- 電源を切る直前の設定(演算モードなど)を保持するために、リチウム電池でバックアップされたSRAMが搭載されています。
一般にEPROMが壊れている場合、プログラムが走りませんから、オープニングメッセージ、測定まで出来る現状、問題ないはず。よってEEPROMである28C16Aの破損が考えられますが、このEEPROMは出荷調整の時に個々のアナログ特性の違い(例えばA/Dのゲイン、下限、上限、スパン等)を補正するための補正数値が書き込まれている可能性があり、部品を買ってきて、書き込み前のまっさらなものと交換しても意味が無いのです。交換は動作そのものが出来なくなる可能性があり危険です。
下:EPROM(イーピーロム)は、「Erasable Programmable Read-Only Memory」の略称です。シールをはがすと透明な窓があり、紫外線の照射でプログラムを消していました。シールしないとプログラムが自然光でも時間により消えてしまうわけです。2個あるのはマイコンのMC68000が16ビットバスマイコンだからです。8ビットEPROMを2個使用しています。R6871Eの制御プログラムが書かれていると思います。
下:窓付きEPROMの見本 容量が同じでダイのサイズが違うと、プロセスルールの違い、製品としての優劣が分かったりしました(笑) 余談ですが、京セラという会社はこのセラミックパッケージで財を成した会社です。セラミックとガラスの熱膨張率の違いを克服し、気密を保つために特殊な技術を使っています。
下:M28C16 EEPROM(イーイーピーロム)は、「Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory」の略称です。
日本語では「電子的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ」、または「電気的に書き換えができるROM」と呼びます。
電気的にデータを消去できるのでガラスの窓がありませんし、窓が無いから安価なプラスチックパッケージが使用できました。
さて、万事休すです。電卓で引き算してやればいいのですが、折角なら0の時は0と表示したい。R6871Eは4線式測定も出来るから、リード線の影響は受けないはずなんだがと思い、パネルをみると、
FUNCTION の2WΩ/4WΩのWってWatt(ワット)ではなく、Wire(線)で、スイッチを押して4線式にしたら簡単に48xμΩまで下がりました。1Ωの0.1%って1mΩだから問題ない分解能だと思います。問題はWをワットと思い込んでいたわたし(*ノωノ)。
4線式(3線式)はリード線の抵抗分の影響を受けない話は電子工学の基本ですが、ご参考までに以下で解説されています。






