おかえり



ゾンビが、


普通に私に言っていた日々に、


戻りたい。



「あなたは誰ですか?


家に帰らせて下さい。


私の家は、


こんなんじゃないんです!


家に帰して!


家族を呼んで!」




そう叫ぶゾンビを、


必死で止めながら、


穏やかな光景が、


まぶたの裏によみがえります。



でも、


まともなゾンビは、



「あなたは、


私の面倒をみなさい。


財産は、


お兄ちゃんにあげなさい。」


と言うのです。



時間を戻しても、


苦しみは続きます。



「あなた、


何もしなかったから、


私の面倒を、


ずっと、みてた妹に、


財産をあげなさい。」



と言ってくれるお母さんは、


この世に存在しないのです。



母の死が、私の幸せです。