(低い雲と地を覆う霧 ミルフィーユ状でなんだか旨そうな今朝の北岳)
ブログ友の nobu さんに教えていただいたカツカレーの店「ふらい屋杣(そま)」に行ってみた。場所は小淵沢「女神の森」のすぐそば。
12時を若干過ぎていたこともあり、駐車スペースはほぼ満車状態。ちょっと待たされるかもなあと中に入ってみると先客はゼロだった。
「ごめんね~、あれは全部ウチのクルマ」
元気はつらつの女将さんは60歳前後だろうか。笑顔で我々一行を迎えてくれた。
「こっちと」
(年季の入ったメニューがカウンターに)
「あっちも見てね」
と、指さす方を見ると黒板にお品書きが。どうやらこれがメインメニューらしいが、メンドウなので手近の方から紹介しているようだ。
(「おまかせランチ」というのが先に見せてもらった「おまかせ」のこと)
う~む。
ハナからカツカレーに決めていたのだが、好物のエビフライも捨てがたい。
「半カツカレー+エビフライじゃ多いですかね」
「多いね。半カツカレーはカツが半分になるけどカレーはまるまる一人前あるから」
困っちゃうナ、カレーが多すぎて
どおしよお、まだまだ食えるかしら
う~ん、う~んと黒板をねめつけながら呻吟していると、見るに見かねた女将さんが助け舟を出してくれた。
「半カツカレーにエビフライ1本つけようか」
「それでお願いします!」
人間心理の不可思議なところ、それは決断した途端に後悔が始まることだ。
5000日のカウントダウンもいつの間にか残り4930日になった。
私はこれから先の4930回の昼メシでカツカレーを何回食えるのだろう。そして「杣」に再び足を運ぶ機会が果たしてあるのだろうか。
明日ありと思う心のあだ桜、だ。
「スミマセン、半カツじゃなくてフルカツカレーにエビフライでお願いします」
「(よく食べるね~)エビフライは1本でいいのね」
無事注文も決まってやれやれ。食べ放題のキャベツ、サイドのゼンマイの煮しめなんぞをいただく。
(客が二人だから小さなボウルに盛られていた)
ご主人が調理をしている間女将さんと四方山話をした。
聞けばこの店は今年で18年目。富士見高原ゴルフコースの料理長をしていたご主人が定年退職されたのを機に始められたよし。
「するってえとご主人は、二一天作の五で・・・」
「82歳ですよ」
ずいぶん歳の離れたご夫婦らしい。
これはひょっとして避暑地の夏にゴルフ場のレストランでバイトしていた女将さんにご主人がちょっかい出したのかも、と思ったが初対面でそこまで聞くのは気がひける。
以前は酒も提供していたそうで、女将さんの背後には古びたボトルが並んでいた。
よくみると煤けたカンパリのボトルが2本。
CAMPARIの氷が かすかな音立てて
とけるグラスの中 淡い夕映え
私のハートをひとりじめして
あなたは遠くで微笑んでるだけ~
ユーミンの「避暑地の出来事」がリリースされたのは1976年。
その後カンパリはバブル期のリゾートを象徴する飲み物のひとつとなったがそれも今は昔。このボトルは「杣」開店の時から同じ場所で店の栄枯盛衰を見守ってきたのかもしれない。
そんなことをボンヤリ考えていると「カツカレーエビフライ1本つけ」がやってきた。
(1300円+エビフライ300円)
大ぶりのカツ6切れの上にこれも大ぶりのエビフライが屹立している。
カツが旨い。
さすが「ふらい屋」だ。
サイズ、柔らかさ、脂の少なさからヒレのようだが定かではないが、ヒレもロースも同じ値段だからお店の都合で都度どちらかを使いわけているのだろう。
エビフライもイケる。
画竜点睛を欠くのはカレーで、イマイチパンチ不足。まあ「ふらい屋」だからカレーに多くを望むのは酷というものだろう。
私の勝手な評価は、カツの旨さは八ヶ岳南麓カツカレー界の白眉だが総合力では野辺山「最高地点」がわずかに上だ。
(「最高地点」カツカレー1250円 2023年10月撮影)
腹が苦しい。
それにしても八ヶ岳南麓のカツカレーはどうしてこう押しなべて量が多いのだろう。「カツカレー=ガテン系の食い物」という偏見があるのだろうか。
次回はハレの日を選んで「シーフードミックスフライ」を食ってみよう。
(DIY感に溢れた看板 分かりやすくて「ラーメン一休」より格段にマシ)