暖冬の八ヶ岳南麓で神社と教会を巡る | 八ヶ岳ゆるふわ日記

八ヶ岳ゆるふわ日記

八ヶ岳南麓大泉と東京を行ったり来たりの毎日。日々のよしなしごとを綴ります。

(建部神社の剣舞)

 

 今日は日本基督教団八ヶ岳教会のカレーの日。

 11月とは思えない暖かい日差しの中、Aさんの奥様が運転するクルマは教会の近くにある建部神社(たけべじんじゃ)に向かった。同社の秋の例大祭に合わせて「神社でマルシェ」というイベントが開催されるとのこと。

 

(おめあては朝イチの舞だそうな)

 

 

(表参道を上がっていくと)

 

(本殿が)

 

 建部神社の創建は治承4年(1180年)。以仁王の乱が起き「驕る平家は久しからず」の端緒となった年である。

 ご祭神は諏訪大社と同じ建御名方(タケミナカタ)。つまりここは諏訪大社系だから、八ヶ岳南麓ではメジャーな神社といえる。

 

(神楽殿がある神社は南麓でもそれほど多くはない)

 

 2023年10月現在全国の神社数は寺の数(76,660)を上回る80,507社。人口10万人当たりの神社数は65社である。

 山梨県は神社数1275社、10万人当たりの神社数は161社で全国的にみても神社高密度地域といえるが、中でも我が北杜市の神社数は139社、10万人当たりだとなんと323社である。

 

 草莽の民俗史家ゆるふわ博士によると、これは古来から彼の地で諏訪大社勢、源氏勢(=八幡宮勢力)、駿河勢(伊勢神宮、熱田神宮勢力)がせめぎあったことに由来するものだという。

 事実北杜市の神社3大勢力は諏訪大社(タケミナカタ)、伊勢神宮(天照大神)、八幡宮(ホンダワケ=応神天皇)で、全国的にポピュラーな稲荷社はわずか2社しかない。

 

 建部神社は私が8年前に家を建てた時の地鎮祭を司った神社で、当日ハイラックスサーフに乗った神主さんが衣装姿で颯爽とやってきたのには度肝を抜かれたものだ。

 

 

(2015年5月撮影)

 

 神楽殿の隅にちょっとした氏子さんの接待所があって、飲み物と神主さんが栽培したサツマイモをふかしたものが無料でふるまわれていた。

 地鎮祭をやっていただいた私は準氏子のようなものだから(ホントか)、遠慮なくサツマイモをいただいた。

 

 

 

 旨い。

 サツマイモなんぞ食いたいと思ったことは金輪際ないのだが、ほどよい甘みと絶妙のふかし加減が私を幻惑した。

 

 そうだ。

「備えあれば憂いなし」という。

 教会でがっつかないように2個食っておくことにしよう。私をいつも教会に連れて行ってくれるAさんご夫妻に恥をかかせるわけにはいかない。

 

 

(キッチンカーも何台か並んでいて私を誘惑する)

 

 教会ではいつものように山本牧師が出迎えてくれた。

「おはようございます。恥ずかしながらまたカレーをいただきにまいりました」

「すみません、それが今日はカレーではないんです」

「・・・(ゲゲっ、また「掃除の日」か)」

「今日はハッシュドなんとかで・・・」

「あ~ハヤシライスですね。懐かしいなあ、子供の時給食で食って以来かなあ」

「そうですか。遠慮なくたくさんお召し上がりください」

 

 よく考えてみると数年前に丸の内・丸善で本家ハヤシライス(早矢仕ライス=丸善創業者の名前に由来する)を食っていたが、この際それはどうでもよい。

 

 山本牧師の説教を堪能し、礼拝所から集会所に向かうと外にテーブルが置かれていて、そこに立派なハヤシライスが鎮座していた。

 Aさんご夫妻が、足りない、少ないといつもブーたれる私を見かねて大盛りを用意してくださったのである。

 

 ああ、情けは人のためならず(おマエが言うなって)。

 

 

(すごい量だよ、これ)

 

 私の脳裏には少年時代に読んだO.ヘンリーの短編が去来した。

 クリスマスイブの前夜のこと

 夫は最愛の妻の美しい髪を彩るため自慢の懐中時計を売って髪飾りを買った

 その頃妻は夫の懐中時計につける鎖をプレゼントするために髪を切っていた

 

 Aさんご夫妻のお気持ちと二人に恥をかかせまいとイモを2個食う私の気持ちはなんだかこの美しい佳作に似ていないだろうか。・・・似てないな。

 

 それはともかく、2個のふかしイモと大盛りハヤシライスは、そのボリューム以上に私の心を満たしてくれたのである。 

 

(十字架の周りにも冬とは思えない暖かさが満ちていた)