(祈りの象徴が天を衝く日本基督教団八ヶ岳教会)
「次の日曜日は『カレーの日』です。教会に行きますか」
「信仰を持たない私がガツガツ食って問題はないんでしょうか」
「ガツガツしなければ、問題ありません」
ゴルフ友のAさんのお誘いで四たび日本基督教団八ヶ岳教会に足を運んだ。
過去3回は山本牧師の説教100%であったが、この日はカレー8:説教2、いやカレー9というのが正直なところである。
教会の入り口で身なりをきちんと整えた山本牧師が信者の皆さんを出迎えていた。
「あの、無信仰で無節操、そのくせ食い意地だけは無尽蔵の私がカレーを食ってもいいのでしょうか」
「もちろんです。ただ問題がありまして・・・」
聞けば電気釜が故障してしまい、ごはんが不足しそうだとのこと。
「私は部外者ですから『もし余ったらいただく』ということで構いませんが(「どうか遠慮なく」って言ってくれるよ、きっと)」
「いえいえ、どうかご遠慮なく(そう言ってくれ、って顔に書いてあるし)」
晴れて牧師のお墨付きを頂戴した私は牧師の説教も上の空、集会室で今や遅しと仕込まれているであろうカレーの様子が気になってしかたがない。
最後の祈りが終わった瞬間に礼拝所からまろびでた私が騎虎の勢いで集会室に一番乗りすると、そこには馥郁たるココナッツミルクの香りが漂っていた。
「本日のカレー」、それはタイで暮らしたことがあるという信者さんがこさえるグリーンカレーだった。
(礼拝が終わる頃合いを見計らって最後の彩りパプリカが大鍋に投入された)
やがて皿に盛られたカレーが順番に配られた。
(ごはんは気持ち少なめ これに野菜サラダ、コーヒー、自家製きゅうちゃん、切り干し大根がついてお値段はなんと無料)
旨い。
心のデトックスが済んだばかりということもあるかもしれないがすこぶる旨い。八ヶ岳南麓が誇るスパイスの殿堂「mountain*mountain」のグリーンカレーと比較しても甲乙つけがたいレベルである。
これは次回の「カレーの日」も外せないでしょ。
そう決意を新たにしていると不心得者のキナ臭い様子に感づいたAさんが次回のカレー当番Bさんを紹介してくれた。
「はじめまして。Bさんはどんなカレーをこさえるのですか」
「(初対面の挨拶としては変わってるな~)インド風というか、まあそんな感じです」
なんとすばらしい。「インドカレー」でなく、「インド風」というのが我々日本人にとっては重要だ。
八ヶ岳南麓のインド風カレーは「かるみれんげ」が富士見町に移転し、「ティフィンデココ」が閉店となって今では「不思議ちゃん系」を除けばせいぜい1、2軒というところだから実にありがたい。
核兵器がない世界、戦争がない世界がいずれやってきますように。
八ヶ岳教会の信者さん達がいつまでも楽しく暮らせますように。
「カレーの日」がもっとふえて、「八ヶ岳南麓カレー紀行番外編」が何度もアップできますように。
そんな思いにかられながら教会を後にした。