終の棲家をどうするか⑨物件選びは何を決め手にすればいいのだろう | 八ヶ岳ゆるふわ日記

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八ヶ岳南麓大泉と東京を行ったり来たりの毎日。日々のよしなしごとを綴ります。

(久我山「みちのく彩り屋」のおでん)

 

 近所の不動産屋から電話がかかってきた。私が希望する地域でスーパーが近くにあって買い物も便利な物件が出たという。

 さっそく見学することにしたのだが、見学の都度不動産屋のクルマで案内してもらっていると次第に情も移るしシガラミのようなものも出てくるので案内を断って自転車で現地へ向かった。自転車だと近隣の様子もじっくり観察できるし、運動にもなって何かと好都合である。

 「いえ、私がご案内させていただきます!」

 「大丈夫だって。もし気に入ったらちゃんとお宅に仲介料入るようにするからさ」

 「ありがとうございます!ではお気をつけて」

 

 1件目は杉並区宮前4丁目。「オーケーストア宮前店」から100mほどにあり、井ノ頭線富士見ヶ丘駅まで徒歩15分といったところか。土地はやや狭めだが、東側道路でとても気に入った。

 

(土地には可愛らしい家が このまま住むのも楽しそう)

 

 

(オーケー宮前店の品ぞろえ 納豆は19種類と充実しているが低脂肪乳は2種類とやや寂しい 

 上段に「低脂肪乳飲料」なんてのがあってさすが安さが売りのオーケーという感じ)

 

 2件目は久我山5丁目。「西友富士見ヶ丘店」まで100m、駅まで徒歩10分という便利な立地にも

かかわらずとても静かな環境である。こちらは1件目よりさらに気に入ってしまった。

 

(南側と西側が道路になっていて家を建てやすそうな形状)

 

 迷う。ここらで手を打つべきなのだろうか。

 それにしても皆さんいったいどのようにして「これだ」という物件を選んでいるのだろう。

 

 人生の重大な決断としては例えば結婚とか就職とかがあるわけだが、これらは比較的簡単である。

 結婚の場合だとそれなりの交際期間があってから、

 「そろそろここら辺で手を打つか」、となるわけだ。お見合いだとしてもたった一つの物件(?)をどうするか考えればよい。

 ところが終の棲家の場合は、

 「私がいいよ」、「いや、ズバリ私でしょう」とそれこそ「娘一人に婿八人」状態。いやそれどころか婿何十人といった様相だからどこまでも迷いが生じてしまう。

 

 そんなことを考えているうちに、腹が減ってきた。

 自転車の強みで富士見ヶ丘駅を経て久我山駅前までギコギコ。目指すは以前目をつけた「餃子とビールは文化です。」の店である。

 

(ここです)

 

 件の店に辿り着くと、その隣に「みちのく彩どり食堂」という看板があった。メニューを見ると「十和田牛バラ炒め定食」というのがある。それを見た瞬間私は思わず店内に飛び込んでいた。 

 

(「ごはん」の看板が餃子の店に負けない位の手作り感 ひょっとして久我山の特色なのか)

 

 狭い店内はうら若い女性とおじさんが切り盛りしていた。

 聞けば女性の方がオーナーで、彼女は長いこと故郷仙台でおでん屋をやっていたそうだが昨年思うところあって上京、ここ久我山の地で東北の食材を使ったレストランを始めたのだという。

 

 牛バラ定食を待ちながらふと見るとおでんが目に飛び込んできた。さすが元おでん屋さん、見るからに

旨そうだ。

 

(「練りものは宮城からの直送品」というのがそそられる)

 

 こうなると昼は飲まないという誓いもどこへやら、さっそくビールとおでんをいくつか頼んでグビグビ。

 後からお一人で来たおじいさんは同じような建てつけでハイボールを召し上がっていらっしゃる。なんだそんなのがあるならそっちがよかったのに~、などとトグロを巻き始めたところに牛バラの登場である。

 

(牛丼の具の高級なヤツと思えばよろしい)

 

 旨い。家内が頼んだ「鶏唐揚げ桃色タルタル」も味見させてもらったがこれも旨い。

 

(「桃色」の正体はしば漬け 家でもマネできそうだ)

 

 それにしても松田聖子ではないが、「ビビビと来た」というのは実際起こりうることなのである。

 

 これはひょっとして土地でもあるかもしれない。

 不動産屋には気の毒だが、今回はそんなわけで見送りとしたのであった。