(酔っ払いのいたずらか 「かんだ光壽」が「かんた光壽」になっている)
ブログ友Yさんのお誘いで神田で日本酒を飲むことになった。
場所は神田北口「光壽(こうじゅ)」である。
待ち合わせ時刻より30分ほど早く着いて界隈を探索する。かつて何度か足を運んだ北口ガード下の
スパイシー中華の名店「味坊」も健在だった。JRのこっち側は西口サイドと比べて闇市臭がかすかに残っている。私はこういった猥雑な横丁に何故か惹かれる。
店に入ると小峠英二に小堺一機をトッピングしたような感じの店長が迎えてくれた(写真参照 ブログに顔が出ることはご本人了解済)。
さっそくハイボールを頼むとウィスキーは置いていないとのつれない返事。じゃあレモンサワー、というと焼酎はあるがソーダは置いていないとの重ねてつれない返事。
しかたなく生ビールを頼んだが、小峠店長は偏屈なタイプとみた。もっとも向こうは向こうで、いの一番の客がゲンの悪いわがまま老人で気落ちしたことだろう。
豪勢なつき出しとビールが来たところでYさんも登場、さっそく乾杯して日本酒選びだ。
(つき出し7点盛り 小さな鉢に見えるが中央の茹で落花生があまりに巨大なのでそうみえるだけ)
一覧表を見ると栃木県の酒が目についた。鳳凰美田をはじめ存外栃木の酒は旨い。
そこでまずは純米吟醸「大那(だいな)」(菊の里酒蔵)を飲んでみた。フルーティな味わいで旨い。
その次は同じく「辻善兵衛雄町」(辻善兵衛商店)。これも旨い。
酒の前では店長の性格問題など矮小事にすぎない。
(酒はグラスで出てくる)
左:菊の里酒蔵 栃木県大田原市 創業慶応2年(1866年)
右:辻善兵衛商店 栃木県真岡市 創業宝暦4年(1754年)
栃木の次は長野に行ってみる。なぜなら目の前に並んでいたから。
長野の酒というと明鏡止水と真澄位しか飲んだことはないので、小峠店長に大那と同じようなやつ、とお願いすると沈思黙考のすえ出てきたのが、「川中島幻舞」(酒千蔵野しゅせんくらの)である。
旨い。続けて「亀の海大吟醸」(土屋酒造)も飲んでみた。旨いよ~。
(川中島幻舞(左)は「SAKETIME長野県日本酒人気ランキング」のトップ)
左:酒千蔵野 長野県長野市川中島 創業天文12年(1540年)長野県最古の酒蔵とのこと
川中島の合戦(1553年~1564年)の時はどこで酒を造っていたのだろうか
右:土屋酒造 長野県佐久市 創業は江戸期 明治33年(1900年)に会社化
Yさんが口開けの酒(銘柄は忘れた)を注いでもらっているのを見て、酔っ払いの卑しさが頭をもたげ、たまたま空いたグラスにYさんと同じ酒を入れてくれるよう要求した。
小峠「いや、新しいグラス持ってきますから」
ゆる「なんだよ~、いいんだよ、これで。ひっく、店も忙しいし、さ(「さ」のあたりが酔っていてクドい)」
小峠「ありがとうございます。ただこれはウチのポリシーなんで、グラス替えさせてください」
ふ~ん、店長案外いいやつかも。偏屈というより筋が通っているということだ。ことによるとメインは小堺一機、そこに少しだけ小峠をトッピングした感じかもしれない。
その後も「丁度終わったんで、足りない分は別のグラスで持ってきます」と万事丁寧だ。
ゆる「ひっく、今度はさ(店長を下からねめつける)、同じ銘柄なんだから、グラス同じでいいよ~」
小堺「いえ、底のやつと口開けでは味が違いますから、グラス替えさせてください」
ゆる「そうだよな~、やっぱ口開けが旨いよね」
小堺「いえ、それは好き好きです(きっぱり)」
酔いとともに店長の好感度が上がっていく。出世魚型の店長。
最後はお店の王様(値段が)「磯自慢」で〆ましょうと決め、大トリの前座は小堺店長お勧めで行ってみよう~ということで登場したのが「作(ざく)」(清水清三郎商店 三重県鈴鹿市 創業明治2年)。
(よ!待ってました小堺大明神 堂に入ったカメラ目線。ことによると役者志望か)
旨い。これも旨い。
どう旨いかはよく覚えていないのだが、旨いことだけははっきり覚えている。
よい酒を
よい友と
よい店長の差配で飲む。
至福の夜に貴方を誘う「かんた光壽」、日本酒好きの方にはお勧めです。