行きつけの床屋の近所に酒が安いことで有名な「OKストア」鷺宮店がある。
OKは首都圏に約100店舗を展開している中堅チェーンだが、マスターによるとその本店がここ鷺宮店だという。ググってみると実際は第1号店は上板橋(すでに閉鎖)、第2号店が鷺宮店であった。
(本社は横浜だ)
3月からの改装工事も終わり、新装オープンしたOKに酒を買いに行った。
私は日本酒とワインが一番好きなのだが、どちらも糖質も値段も高いので高血圧で糖尿病予備軍である年金生活者の私は飲まないに越したことはない。
季節も醸造酒を欲する時期を過ぎてきたことから、この際日本酒とは縁を切ることにしてウイスキー2本(ジョニ赤、ホワイトホース)芋焼酎2本(赤霧島、赤兎馬)を買ってきた。
いずれも肥満、糖尿病、高血圧に優しい顔ぶれである。しかもロックでグビグビやらないように炭酸水まで大人買いするという細やかさ、我ながら冴えている。
ところが好事魔多し、家に帰ると宅急便がやってきて、大きな荷物を渡された。
岡山の友人が何をトチ狂ったのか、クール宅急便で日本酒を送ってきたのだ。
悲しみは駆け足でやってくる(懐かしいなあ)
もうおしまいにしようと思った好物は向こうから駆け足でやってくる
これ「あるある」でしょう。
(岡山の銘酒「極聖」 純米大吟醸「高島雄町」の方は木箱入りで結構いい値段)
この男は会社の同期だが、何を思ったか20年ほど前に中途退職し、どういう伝手なのか現在は故郷岡山の女子短大に潜りこみ近隣の婦女子に真言立川流だかなんだか怪しげな講義をしている。
貧乏
おツムは弱い
顔はサルそのもの
と三重苦を背負った男だが、性格は優しく、若いころ私はカネがなくなるとこの男にメシをせがんだ。
おツムの弱さと気持ちの優しさはほぼ比例することは人類学、社会学における幾多の実験で解明されているが、この男も例外ではない。自分の貧乏は棚に上げて気前よく私におごってくれた。
そんなこともあって旧恩に感謝すべく昨夏大泉に招待したのだが(その時の記事は→ ここ )、男はまたそれに感謝して退職祝いと称して私の好物を送ってくれたのである。
(昨夏の1シーン 渋「辰野館」にて野生サルの入浴風景)
ったく、相変わらずカネもないくせに。
「極聖大吟醸山田錦」をグビグビ飲むと、愚かな友の厚意が身体中に染みていく。
糖質制限だの、高血圧だのはもはやどうでもいい。
このおツムの弱い友に私は何を返してあげればいいのだろうか。
この男にまた会える日がいつか来るのだろうか。
次第に酔いが回る。遠くで汽笛をききながら、雨上がりの夜はゆる~く、ふんわか、ふんわかと更けていった。