(燻製カフェもくもく ドライチーズ焼きカレー1100円)
八ヶ岳南麓随一のカツ丼セットの名店「まつ浅」が11月で閉店するという。
この界隈にも「カツ煮」だの「煮カツ丼」だのといったマガイモノを食わせる店はあるが、あれはいけません。「カツ煮」と聞いただけで煮汁でふやけたカツの残骸が脳裏に浮かんで食欲が減退する(「カツ丼」とどう違うのかは各自ご研究ください)。
そもそもカツ丼という食い物は単品で食うものではない。
ケダモノの時代はともかく高齢者にはモンダミン効果をもたらす蕎麦のお供が不可欠なのだが、八ヶ岳南麓でカツ丼セットを出す蕎麦屋は「まつ浅」だけ(たぶんそうでしょ)なのである。
(「まつ浅」半カツ丼セット カツが3切れというのがちょうどいい塩梅)
マクラが長くなったが、そんなわけで名残を惜しむべく、「まつ浅」の半カツ丼+冷たい蕎麦のセットを食いに行った。
夏休みの日曜日とあってどこの店も混むはずだ。
「まつ浅」の開店時刻は11時だからその時分ならさすがに観光客連中もおしかけてはいないだろう、とタカをくくっていたのだがオッたまげた。なんと満席である。
中央道が渋滞する前になるべく早くメシを済ませたい観光客が殺到しているのだろうか。それともカツ丼セットに愛着がある移住者・別荘族が名残を惜しんで食いに来ているのだろうか。
おそらくそのどっちもなのだろう。
さあ困った。
11時に開いている店はここいら辺でそう多くはない。
窮すれば通ずという。
ふと思い出したのが森の中にひっそりと佇む「燻製カフェもくもく」。
散歩の途中で見かけて足を運んだのはもう2年も前のことだから、はたして健在なのか不安だったがちゃんとやっていた。
「いらっしゃいませ」
森でひっそりと暮らす美魔女のようなマダムがにこやかに迎えてくれた。
先客はわずか1組。さすがにこの奥地まで観光客の魔手は伸びていないらしい。
(森に面した窓際のカウンター席へ)
注文したのは前回と同じく「ドライチーズ焼きカレー」(スープつき)。
「腹が減ってるんで『スモークチキンと野菜サラダ』も頼んだ方がいいですか」
「フフフ、大丈夫です。お腹い~っぱいになりますから」
待つこと5分少々でカレーがやってきた。
量が多くてお供も多いことを思い出した。
(2年前の写真 サラダの具まで寸分変わらない)
腹がいっぱいになったところでコーヒー(300円)登場。サービスのシフォンケーキがついてきたところも前回と全~く変わらない。
(つけあわせのクリームとブルーベリージャムも同じ)
なんだか時間が止まった異空間に紛れ込んだような気分だ。
そこいら中が激混みのこの時期、「もくもく」は隠れた切り札といえそうだ。