判例時報2373号に掲載された事例です。(札幌高裁平成30年1月30日決定)
離婚の際,公正証書により養育費月額4万円を支払うことが合意されていましたが,その後,義務者(養育費を支払う側)が再婚し,再婚相手の子らと養子縁組をしたために,義務者が養育費の減額を求めた事例です。
本決定は,公正証書が作成された後,義務者が再婚し,再婚相手の子らと養子縁組をして,扶養義務を負うに至ったことや,当事者の収入が変動したことなどにより,公正証書において養育費を決める際に前提とされた事情が変更されたとして,公正証書が作成された後の事情を考慮して養育費を算定するのが相当であるとしました。
次に,本決定は,公正証書作成当時の当事者らの収入等を前提とする養育費の試算額は,月額1万5282円となるとし,公正証書では,それを2万4718円上回る金額が合意されているとしました。
そこで,本決定は,今回,養育費を算出するに当たっても,標準的算定方式による試算額に,一定の金額を加算するべきであるとしました。ただし,加算額については,上記2万4718円を,未成年者と再婚相手の子らに,生活費指数に応じて按分した1万0222円が相当であるとしました。
一般に,離婚後の養育費に関する取り決めは,取り決めの際に前提とされた事情が変更された場合,変更することができるとされています。事情変更の代表的な例として,養育費負担義務者の再婚や当事者双方の収入の変動が挙げられますが,本件もそのような事情変更が生じた事例です。
しかし,変更後の金額は,新たな養育費の負担を定めるものではなく,あくまで変更ですから,当初の合意の趣旨を尊重するべきであるとして,標準的算定方式による試算額に,一定の加算を認めています。
養育費の取り決め後に事情変更が生じ,養育費を定め直す場合に,参考になる事例です。
