砂を泳ぐ魚 -3ページ目


⚫️『ブラック・スキャンダル』(Black Mass)観ての戯言


SHERLOCKのSP篇 :  The Abominable Bride をひと足先に見ることができたのでその感想や、最近見た映画のことも書きたいと、ずっとずっと思っていたのだが。
年明けから Criminal Mindsにすっかりハマってしまい、気もそぞろ……というか、登場する凶悪犯の犯行があまりにも残虐すぎて、ブルブル震えながらも見るのを止められない…といった有様である。
私の住む日本の片田舎ではそんなこと起こらないだろうと分かってはいるものの、暗くなってから外出するのがめっきり怖くなってしまい(もし彼らに狙われていたとしたら、例え家の中にいてもアウトなのだが…)、
家に引き籠って、震える手でディスクをセットし、次々にDVDを消化している。
しかし面白いなあ…

途中でモーガンが「俺たちはファミリーなんだから…」的な事を言い出した時は、あれ?君たちそんなノリだったっけ?とは思ったけれど…
家族のような関係性に変化してというか、回を重ねてチームの親密さが増し、キャラクターの色んな側面が見えるようになってからも、
個性の光るキャラクター頼りになるでもなく、事件の部分はいつも一定のクオリティがあって、きっちり面白い所が良いですね。


それはそうと、映画『ブラック・スキャンダル』を観てきた。
『ブリッジ・オブ・スパイ』と迷ったが、取り敢えずはベネ氏目的でこっちを。







あまり批判的なことは書かない方が良いのかもしれないが、何というか…、期待した程ではなかった。
勿論、良い点もたくさんあったが、それは他の人にお任せするとして、ただの素人の感想を述べる。
ジョニデとカンバーバッジを使いたかっただけという印象だった。
実話を元にしているというのは分かっているのだが、もう少しエンターテイメント性があっても良いのではないかと思った。
だからと言って骨太な訳でもなく、マフィアものとしても、実録ものとしても中途半端。
当時の風俗やボストンの街の雰囲気が分かって良かったし、衣装もリアルだとは思ったが、ヘアメイクは正直??だった。
ヘアメイクは評価されているという前情報だったが、出てくる人出てくる人全てがカツラ臭くて、いくら70年代を再現しているといっても、もう少しどうにかならなかったのか、という感じだ。

肝心のジョニデも、いつものジョニデのキャラ臭さは少なめではあったが、生え際とアイメイクの作り物臭さが際立ってしまい、リアルとは程遠い。
冷酷さを表現しようという心意気は感じたものの、冷酷なハゲ親父をやりたいのなら、他にいくらでも上手い俳優はいるだろう。リアルハゲで。

これはカンバーバッジにも言えることで、この役を彼がやる必要性は感じなかった。てっきり幼馴染3人が裏で手を組み、汚いやり方でのし上がっていく物語だと思っていたので、カンバーバッジのクリーンな印象は肩透かしだった。
(実際のウィリアムは色々やっていたのだろうが…)
カンバーバッジには成り上がってきた感があまり感じられなかった。

だが最も気になったのは、FBIのコノリーだ。
先程のヘアメイクの話に戻るが、そもそも私がこの映画にリアルさの欠片も感じなかったのは彼が原因だ。
俳優さんには何の不満もないのだが、終始一貫して彼がディランの物真似?コント?をしている時の、なだぎ武にしか見えなかった。この映画の違和感の中心は彼だったのだ。
観ている側としては、コノリーが調子に乗っている様や、鼻持ちならない態度にイライラさせられたり、風向きが悪くなると狼狽えたりする姿にスカッとしたり、上手いなあ…と思って観ていたのだが、気を抜くとディランに扮するなだぎ武に見えてしまうのだ。
シリアスな場面でも滑稽さが勝ってしまう。
これは私が悪いのだ。制作者はなだぎ武を意図したわけではないのだから。


だがそれを差し引いても、もの足りない映画だった。
コテコテのマフィア映画になりそうだから、敢えて端折ったのかもしれないが、もっとマフィア同士の対立や抗争シーンが欲しかった。
ジェームズがのし上がっていく過程でどんなことが成されたのか、(恐らくはお決まりのシーンの連発になるかもしれないが)、もっと相手の顔が見える形にしてほしかった。
上手く言えないが、実体の無い敵と戦っているような、後に印象に残らないような薄さだ。
まあ、そんないかにもなシーンを実際に入れたら、クサすぎるとか、ありきたりだという印象を受けるのかもしれないが……。

他にも、食事のシーンで〝家族の秘伝のレシピ〟を巡って、ジョニデがデヴィッド・ハーバーを脅すところも、何というか…演出の問題なのか、下手だなあと思った。恐怖を煽ろうとしているのか知らないが、それには失敗しているし、滑稽で学生が撮ったようなシーンだった。
これ以外にも、意図してかしらずか、素人臭さの目立つ映画だった。
FBI内の対立もイマイチ、FBIも捜査している感があまり感じられず、見終わった後に 2時間何やってたっけ?という映画だった。

ただ、事件の関係者がまだ生きていることや、ヒーローとして描くことでバルジャーに憧れる人が出ては困るから、演出も控え目、面白さも控え目にしたのかなと思った。
家族愛に篤い一面はあっても、あくまでバルジャーは悪人で、英雄視されるような描き方はされてなかったように思う。この映画はそれで充分なのかも。