先日、大学入学共通テストが行われました。その「歴史総合、日本史探求」の第1問が「ほぼ世界史の問題ではないか」といった理由で、物議を醸しているようです。そこで、朝日新聞デジタルのリンクから実際に問題を確認してみました。ちなみに、私の専門は歴史ではなく化学です。

 

 

 

 私の印象では、

 

問1:完全に世界史。

問2:正解を導くには清仏戦争の年代が必要なので、世界史に分類。

問3:この当時、欧米列強として日本に開国を迫った国にスペインは含まれていないことを考えると、アはイギリス、イは論理的に判断できますので、日本史の知識で解答可能ではないでしょうか。

問4:時期を考えると、日本史の知識だけで3か4 (第一次大戦で日本はドイツと戦い、戦勝国になっている) が正解であることは予想できますが、あとは国際保健協力の動きが始まった時期がいつかを考える必要がある。

問5:日本史を知らなくても、感染症拡大の常識で解答可能。

問6:冷戦の終結やベトナム戦争は日本にも影響があったので、解答可能ではないでしょうか。

問7:プラハの春とキューバ革命が日本に与えた影響は少ないと思うので、日本史からの解答は困難。

問8:「い」は世界史の知識がなくても論理的に考えたらわかる。

 

といった感じです。確かに旧課程の日本史の出題であるのなら適切ではないのかもしれません。

 しかし、この問題は日本史と世界史を融合した近現代史を扱う歴史総合から出題されたものだと思います。非難されるべき点はまったくないと思います。むしろ、問3, 5, 6, 8は単に知識を問うだけでない問題だとおもいます。したがって、SNSでネガティブなコメントがあったとしても、これを取り上げて報道するようなものではないと思います。今、高校や予備校ではどのように歴史を教育しているのかよくわかりませんが、新課程の趣旨にあった良い問題だと思います。

 

 最後に、一部に大学入試は「高校までの教育あるいは受験勉強の集大成」といった意見を持っておられる方がいるかもしれませんが、入試問題の作成者の殆どはそんなことは考えていないと思います。おそらく、多くの出題者は「大学での勉強についていけるような姿勢を身につけているか」「わかりやすく説明することが難しい学問を、理解できるまで勉強する努力ができるか」を判定するような問題を作成したいと願っていると思います。高校教育の専門家でない大学の先生が多くの制約があって自分の好きなようにできないなか昨題していることを考えると、この問題はよく考えられた良い問題であると思います。こういった問題をジャーナリストやマスコミが非難することは、将来の問題の作成者を萎縮させることになり、より知識偏重型の入試問題が増えることになりかねないので、どうかと思います。(もちろん、各個人が好きなように論評し、周辺の人と議論するのは自由だと思います)