ネタバレ感想 ザ・ハント | 玉と蝋石の雑種

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ザ・ハント


原題 The Hunt
2020年 アメリカ 89分

監督:クレイグ・ゾベル
脚本:デイモン・リンデロフ
製作:ジェイソン・ブラム
   デイモン・リンデロフ

キャスト
ヒラリー・スワンク
ベティ・ギルピン
エマ・ロバーツ
イーサン・サプリー
ジャスティン・ハートリー
グレン・ハワートン
アイク・バリンホルツ
エイミー・マディガン
メイコン・ブレア
テリ・ウィブル
ウェイン・デュヴァル


予告編はこんな感じ


パンフレットはありませんでした。
残念。

あらすじ
広大な森の中で目を覚ました12人の男女。そこがどこなのか、どうやってそこに来たのか、誰にもわからない。目の前には巨大な木箱があり、中には1匹のブタと多数の武器が収められている。すると突然、周囲に銃声が鳴り響く。何者かに命を狙われることがわかった彼らは、目の前の武器を手に取り、逃げ惑う。やがて彼らは、ネット上の噂に過ぎないと思われていた、セレブが娯楽目的で一般市民を狩る「マナーゲート」と呼ばれる“人間狩り計画”が実在することを知る。絶望的な状況の中、狩られる側の人間であるクリステルが思わぬ反撃に出たことで、事態は予想外の方向へと動き始める。そして次第にマナーゲートの全容が明らかになり……。(映画.comより)



近況報告、この作品を観た理由
はい、11月になったわけですけれどもまだコロナは相変わらずでお外に行きづらい日々ですよ。奥さんの転職も無事終わって良かった良かったということで、先週は伊豆の貸別荘を借りてのんびりしましたよ。

でも今週はずっと次の仕事用の資格勉強をしたい、とのこと。家にいてもつまらないので映画を探していると、いい感じにボンクラな映画で、しかも今週アトロクの候補作品にもなってた今作を見つけて、こりゃちょうどいいやといった感じだったのでTOHOシネマズ日比谷にて朝一の回で観てきました。


小さめの10番スクリーンでしたが、まさかの満員でしたよ。おじさんが多めな印象。


感想
80点(突然はじめての点数制度導入)
正直、人間狩りものの映画はあまり観たことなくて。
昔よく行く近所のGEOにあったネイキッドっていう映画のパッケージが痛々しくて怖かったのが刷り込まれちゃって、人間狩りというジャンル自体が苦手でした。

ネイキッド、こちら。
ツタヤのレンタル開始日を見ると2007年とのことなので、僕が見てたのは小6か...正直もっとだいぶ小さい頃かと思ったけど、小6なりに怖かったんだと思いますよ。


でも、今作で完全に克服できた。面白かったです。
特に序盤の主人公未定のまま人が死にまくるところは、どう進むか全く予想できなくて超楽しかったです。ジャンルものを観に来ている身としてはこのフレッシュさがあるだけで十二分に満足ですよ。

この人がめちゃ主人公っぽい感じで登場するのですが、すぐ死にます。

その後もこの人、

この人と主人公っぽい雰囲気を出しては次々と死んでいきます。


で、本当の主人公はこの人。クリスタルさん。

この主人公もまた普通ではなく、
アフガニスタン経験のある元軍人らしい上、競争に負けたうさぎによるお礼参りカメ一家惨殺エピローグ付きの「うさぎとかめ」を母親から聞かされ育ったとのこと、極めつけは殺し合いの環境に放り込まれて「本当の自分になれる。フフーン♪」と涙を流して喜ぶということで、かなりアレな感じなお方(ここでの虚ろな目でのフフーン♪が本当に怖い)。


そしてハンター側の黒幕、アテナさん。金持ち。
予告編ではこんなこと言ってるけど、本当はハッキングによって陰謀論の人間狩りジョークが流出した結果、それを信じてた人たちによって大炎上して会社をクビに、その復讐として陰謀論を広げた人達をガチで人間狩りしてやろうと決めたという経緯あり。かわいそうと思いかけたけど、それにしても低所得者の白人に対する嫌悪感がすごいので感情移入はしづらい。

最後にこの二人のバトルになるんだけど、休憩を挟んだり、ガラスに突っ込まれるのは避けたりと微妙にゆるい殺し合いでした、でも面白い。

アメリカでは銃乱射事件が起きてしまったことと、トランプ大統領が怒ったので一度は公開中止になったそうです。たぶん殺される側がモロにトランプ支持者的な人々なのが気に入らなかったんだと思うけど、実際に観てみると今作はハンター側のエリートでリベラルな金持ちも超イジってるので全く気にならなかったですよ。
殺す人々を選ぶ場面で「黒人も一人は入れておかないと人種差別になる」というすげー薄っぺらな人権意識に基づく発言しちゃうところとか、「ザ・ボーイズ」好きな僕にはたまらんお笑いポイントでしたね。

特に、クリスタルの誘拐はミスだった説が出た時のハンターのリーダー、アテナさんによる「自分が正しいと感じることが絶対に正しい」的なもの言いは、まさしく陰謀論を押し通す人達の論理で、結局どっちもどっちだよ!と言われた気がしました。

そして公開前に散々議論が盛り上がってしまったので、「最も語られた映画は、まだ誰も見たことがない」とキャッチフレーズまでつけられています笑
殺される側も殺す側も、SNS等で知った情報から、よく知らないまま断罪したり非難したりした人たちばかりが無駄に殺し合う今作をまさにそんな人たちから観もしないうちから非難されている、ということを皮肉ってますねー、めっちゃ面白い。


政治的な話は横にやっておいて、今の人間狩りものB級映画として、期待してるよりかは断然上を行く面白さだったので、オススメです。



 ジョージ・オーウェルの動物農場。Netflixでドラマ化されるらしいですよ。今の積ん読が片付きかけたら読もうと思います。せめて1984年を読み終わるまではポチるのは我慢。

 


 ハンター側の軍事顧問が監修したという映画。調べたらマジでありましたよ。

 


 比較的平和な家庭に育てられた僕にとってのうさぎとかめはこっち。