『ブリジンガメンの魔法の宝石』読んだ
- アラン・ガーナー, 芦川 長三郎
- ・ブリジンガメンの魔法の宝石
ウェールズ地方チェシャー県にあるオールダリーの丘には、不思議な伝説がある。丘の中の洞窟ファンディンデルブに140人の騎士と140頭の馬が不老不死の魔法の眠りに就いているという。彼らは遥か未来に暗黒の王ナストロンドがよみがえったときに目覚めて、正義のために戦うのだ。
そして現代。二人の子どもコリンとスーザンは、オールダリー村に住む知り合いの農家に泊まりに来た。ところが実はスーザンがお守りの『涙』として持っていた宝石は、騎士たちの眠りを守る「ブリジンガメンの魔法の宝石」たる『炎の霜』だったのだ。『炎の霜』は何百年も前に、ファンディンデルブの守り人である魔法使い「銀のひたい」のキャデリンがうっかりなくしてしまい、それがめぐりめぐってスーザンのお守りになっていたのだった。一足先に気付いた悪の魔法使いに奪われた宝石。早く取り戻さなければ、騎士たちの眠りが覚めてしまう。こうして兄妹は魔法使いや妖精、魔物たちがくりひろげる伝説の世界の戦いに加わることになる…。
なんか……よかった。面白かった。
来る悪の復活にそなえて洞窟で眠る騎士たちを守る魔法使い。善の妖精や小人に、悪に堕ちた魔法使いと闇の小人族。人間が生活している同じ場所の目に見えないところで、神話の存在が息づいている。
人と妖精が交わる描写も映像が目に浮かぶようでよいなあ。
たとえば湖の小島にある森を見ているうちに、なんとなくそこに何かがあるような気がしてくる。いるはずないのに、ちらちら見える気がする。気になって気になって、意を決してそちらに目を向けると、本当に人(妖精)がいる! 湖の姫、『黄金の手』のアンガラッドと逢ったときの、小人フェノディリーの「人間は昔から夢は現実じゃないと考えてきた。」という言葉も、人間と妖精の関係を表している気がした。
作者はウェールズの民間伝承をもとにこの物語を創作し、地名や人物はほぼ伝承のものを使用したのだという。だからこんなに人間と伝説の世界が違和感なく溶け合っているのかもしれない。
子どもたちが魔物や悪い魔法使いに追いかけられたり、真っ暗な洞窟をさまよったりするシーンも、すごくスリリング。スレた読み手としては「どうせ助かるんだろう」とは思っているのだが(ああ)、それでも気になって次々ページを繰ってしまった。
エピローグ的な部分がなくて、終わりは唐突な印象。
まあ今回のエピソードは長い物語の中のほんの一部。伝説はまだ続いているのだろう。
なんとなく以前読んだ『コーンウォールの聖杯 』という本を思い出した。あちらは屋根裏で見つけた一枚の古地図をきっかけに、子どもたちが悪の勢力と戦いながら知恵と勇気をしぼって聖杯探しを行う物語。やはりイギリスの自然と伝説が入り混じったファンタジーだが、自分は『ブリジンガメン~』のほうが好みかな。
あと、一言。
キャデリン、しっかりせい!
- スーザン クーパー, Susan Cooper, 武内 孝夫
- コーンウォールの聖杯
Alan Garner
・The Weirdstone of Brisingamen: A Tale of Alderley
・The Weirdstone of Brisingamen (Collins Voyager)
・The Weirdstone of Brisingamen: A Tale of Alderley
画像が出なくてくやしいので、洋書で出てきた表紙を並べてみたり。
邦訳の表紙はもっと荒々しい感じ。クライマックスの戦いのシーン。
・ブリジンガメンの魔法の宝石 (評論社の児童図書館・文学の部屋)
アラン・ガーナー, 芦川 長三郎
評論社 1979年発行