匂いたつ 弥生の夜の ひな祭り 幼き稚児の 幸多かれと

流れゆく 水に心を 委ねしも  瀧の轟き 我を呼ぶ声

何処にと 尋ねし君が かんばせを(顔] 見上げし瞳 心揺れたり

愛し子の 寝顔見詰めて 夜もすがら 母の慈愛の 抱き子守唄

春雨に 散り急ぎたる 桜花 残る桜も また風に散る

散り際の 儚さゆえに 心惹く 大和心と 散る桜花

ふたりとは まだ人も見ず雪しづれ 朝日におつる 杉のした道(他人の作)

春の夜の 夢幻の 時流れ 暁覚えず 我眠る也

面影を 偲びて夜の 独り酒 別れて気付く 淡い恋かと

夜もすがら 夢路に思う 君なれば 面影偲び 春のまた夢

夢一夜 咲きたる花に 行く春を 焦がれて散るぬ 山八恵桜

緑萌ゆ 初夏の匂いの 切なさに ウグイス唄い 春はゆきたり

幾千里 荒海越えて つばくらめ 家路を忘れず 愛しさつのる

風誘う 今は盛りの 初夏の 匂いいずるは ふるさとの山

世の中と 雲の行方は 風任せ せめて気ままに 心のままに

麗しく 熱き想いを 柔肌の 君のみ胸に いかに届けん

逢いたさに  見上げた月は 上弦の 皐月の空に 弓張らませて

願うなら 七夜を燃えて 飛ぶ蛍 命の限り 君求めなば

離れても 愛しき人の 身元まで 恋の炎を 託す蛍火

薄紅の ほのかに染まる 白き肌 恋の想いに 恥じらいながら

愛しさも 恋しささえも  儚くて 虚ろに響く 言葉ならずや

我が想い 心と心 紡ぎ合い 君の影にて 寄り添いたらん