異次元の壁の隙間部屋 -16ページ目

異次元の壁の隙間部屋

小説やら創作やらを投下するブログです、
オリジナル設定多し、苦手な方はすぐ逃げましょう。
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2.明



「エヴィンって明るいほうが好きなの?」

「うーん、夜目は殆ど効かないから。明るいほうが好きだなぁ」
「そ、そうじゃなくて……」



 シエルはため息を付く、物理的な意味ではなく、なんというか……空気感のことを聞いたのになぁ。
エヴィンは結構、こういうことをやらかすのでもう慣れた事だが。いい加減治ってほしいものだ。
ふと彼女の髪に目を移すと、やっぱり綺麗だなぁ…とシエルは思う。


 金髪。自分と同じ髪色のはずなのに、彼女の髪は明るく輝いて見える。

あぁ、僕は鈍色だからか。彼女とは違う。皆とも違う。


絆は物凄く潔い、自分をちゃんと保ってる、信念は絶対に揺らがない。

過去を受け止めて、それでも生き続けて、正直羨ましい。


イクスは……まるで海のような人だ。いつも何かを見つめてて、見守っていて、強い。

同じ年のはずなのに、此処まで違うのか。といつも思ってしまう。


エヴィンはとても、とても不思議で、優しくて暖かい。

なんでも包み込んで癒してしまう、そんなような雰囲気が彼女を守っている。


 そう思うと、僕ってやっぱりダメダメだな~って思うんだよね。

でも彼女の笑みをみると、不思議と気持ちはふんわりする。



「エヴィンって不思議だね」
「そうかなぁ?」
「うん、不思議。凄く不思議」
「えへへ~」


 にぱ~と笑う彼女の後ろにミリルが物凄い形相で睨んで来るのが見えた。
間違っても恋に落ちるんじゃないぞ、と言う意味か。大丈夫だよミリル、キミのお陰でムードは破壊されたし
そんな勇気、僕には無いから。




「……やっぱり明るいほうが、いいよね」
「そうだね」



 金の髪は風に揺れる。それを照らすのは太陽の光。






暖かい光 明るく照らす、赤い光
(金髪の乙女と鈍色の愚者)
(そんな二人、そんな独り)



**

お題じわじわ進行中、第二回目はエヴィンとシエルの金髪タッグ(おいどんなネーミングセンスだ

過去編メンバーが可愛い。四人集まればすんごいほのぼのなんだろうな~。




1.暗



「お前ってさ、なんか暗いよな」

 暗いとはなんだ、暗いとは。
絆に指摘され、イクスはむすっとした顔でこういった。


「これでも、『明るく』振舞ってるつもりなんだけど」
「いや、そっちじゃなくって…………影?気配?」
「聞かれても困る」



 だよな。と絆は話題を打ち切って、別の話に切り替える。



「そういえば、イクスって『二つの名』は持ってたりする?」
 『二つの名』、一般人から敬意と畏怖を込めて付けられる称号だ。
まぁ、強くて表立って何かやらかせば、もれなく付いてくるモノ。
そんなものあったかなぁ。とイクスは記憶を探す。



「……一応ある、お前は?」
「一個だけ」
「どんなの?」


 絆は苦笑しつつ、聞いても笑うなよ?と言い、少し渋る。
もったいぶるな、と揺さぶったらあっけなく吐く。脆い、脆過ぎる。



「『キバ』」
「みじかっ」

 後々分かった事だが、このキバ。別の意味もあったらしい。だがそれは別のお話。

「うむむ~……お前のは?」


 出来れば聞いてほしくは無かった。話題を繋げたのはミスだったか。
イクスは心の中でため息をする。此処まで来て秘密といったら、余計にメンドクサイ。
 

「……『命暗ウォーヘッド』」


 意味わからねぇ、絆は笑い飛ばす。


「意味なんざ無いんだよ」



 イクスはやけに濃い夕日を見て嗤いつつ、流れを切り替えた。
 そんな流れの中、彼はさりげなくゴメンと謝ったが、絆はさして気にしていない。



『命暗ウォーヘッド』
 命を置き去りにして、暗がりに全てを落とした弾頭。
そんでもって、






放たれた弾頭は、二度と戻ってこない。
(所詮使い捨て)
(そんな俺は命暗WAR-HEAD)






**

こちら の素敵なお題を使用しました! まずは過去編メンバーの絆、イクスのタッグで暗

 若干別のネタ入ってる気はするけど、

気にしない気にしない。琥珀色の世界なんてミテナイミテナイ 


 お題に沿ってるかどうかが、非常に疑問(汗

因みに、命暗は【メイアン】と読みます


※注意、途中で腕喰われてます。






周りの音で、あの声が聞こえない。
いや、一つの音が邪魔で、全てが聞こえない。
五月蝿いよ。五月蝿いんだよ。少しは黙ってくれよ、星の命だか何だか知らないけどさ。


「……五月蝿ぇって言ってるだろうが…………っ!!」


 彼、ローディはベッドから飛び起きて、すぐさま誰もいない壁に向かって

枕元に常備してあるナイフを投げつけた。
ナイフは壁に突き刺さる事は無く、ゴトンッと音を立てて床に果てた。

此処のところ、同じことばかりが何度も続いている。
星の声、心拍音、意思、心、全てが脳裏に聞こえてくるせいで眠れないのだ。
前まではこんな事なかったのだが、最近は何か……危機を伝える警鐘にも聞こえる、

そんな事も考えていた。


「はぁ、もう眠れそうに無いな……」


 ため息を付き、手の届くところにあった適当な上着をファッサーと羽織ってベッドを降りた。
自室はまだ一人部屋。大きな本棚二つを埋めるのは、今までの軌跡を記した日記帳だけ。
コレだけでも異常な数だが、実を言うと物置にはコレの数十倍の数がしまってある。

彼にしては、よく書き続けたものだ。
 いつもなら日記を読みふけって、眠くなるのを待つのだが、今回、彼はそれが得策とは思えずにいた。
強張っていた身体を背伸びでほぐし、部屋を出る。向かう先は寮の外。
適当に何かの力でも借りに行こうかと思った瞬間、あぁ相当疲れてるなと、

またため息をつく。何事も何時も通り。

 

 寮を出て、少し離れた場所には先客がいた。
砂漠の国の傭兵……シグレ・ディルカディア。

何故彼がこんな夜更けにいるのかは分からないが、そこにいることは確か。
ローディには色で何かを判別する、と言うことは出来ないため、殆ど

気配と影頼みだが、其方のほうが案外確実だったりもする。
余計な事はさておき、ローディはシグレに声を掛ける。


「よう」
「なんだ、お前か」


 その反応は酷くないかい?リーダーさんよ。 ローディはワザとらしく哂う。
それを見てシグレは深くため息を吐き、期待外れとでも言うかのように言葉を投げつけてくる。
……彼の目線は何処を見ているのだろうか?


「もうちょいマシなのが来ると思ってたけど、まぁいいか」
「おいおい、なんだ? 今からヤバイ化け物が来るみたいな言い方は」


 気配を周囲に当ててみろ。お前ならすぐ分かるぞ。
シグレのその言葉が合図だったのかもしれない。いや、只単にローディが気付くのが遅すぎただけか。
黒く、濁り、穢れ、恨みや妬み、強欲が形成する魔物が其処に現れた。


「……来たんだよ。ヤバイのが」
「…………なにそれ、俺ってば巻き添えか」


 この世界の結界は意味があったのか、なかったのか。
その魔物……仮に、ギアーゼラとでも呼ぼうか。やつの口らしき部分からは『人の命の水』即ち血が
ポタポタと滴っている。何人喰ったのだろうかね。知らんがな。


『━━━━・・・ヨコセ、血肉ヲ、ヨコセ』

「「断る」」



 夜闇の乱闘は、気をつけて。








「やべ……息できなっ……」

 ギアーゼラの放つ瘴気は、人が呼吸するのを妨げるらしい。
ローディはそれをモロに被ってしまったようで、呼吸をすることが出来ないまま、持っていた銃で弾を放つ。
瘴気を掃いながら実弾はギアーゼラにダメージを与えるが、そのままお役御免の如く消滅。
まさにウォーヘッド。放たれた実弾は還って来ない。


「はっ!」
 
 一方シグレは前線で機敏かつ大胆に攻撃を繰り出していた。横薙ぎ、縦斬り、断絶。
微塵切りにされても変ではないコンボだが、ギアーゼラには大して効いてない様子だ。
ローディも負けじと前線に飛び込んできて、至近距離で弾を撃ち込んでゆく・

 そして、シグレは太刀で突きを放つが……それは完全なミスだった。


「あ、やべっ」


 突き出したその手と腕は、次の瞬間にはギアーゼラの口の中にあった。
幸い太刀はギアーゼラを貫通、すかさず後ろに回ったローディが回収していたので
助かった(そもそも、彼の救出優先順位がオカシイ)が、問題は目の前に立ちはだかっている。


「莫迦野郎!はやく腕抜け!!」
「見て分かれ!!」


 頭の回路が常人ではなく狂人なローディに、見て分かれとは無理な願いだろう。
シグレは焦り、腕を引き抜こうとした瞬間……。



バキッ バキリッ ボキッ グチャリッ バキバキバキッ!!




 指の先から、まるで煎餅を喰うかのように噛み砕かれた。
言いようの無い激痛がシグレを襲う。よく叫ばず、気絶せずいられるものだ。
なんとかローディがギアーゼラを引き剥がそうとするが、上手くいかずにまた瘴気を受け、後退。



「──ッ、ローディ!俺の肩ぶち抜け!腕取れるくらいに!!」

 血反吐を吐きそうな勢いで叫ぶ、何を言っているのか彼は。


「はぁ!?」

「いいから早く──ッ」


 あの莫迦が、あんなのに腕一本くれてやるつもりか。
盛大に呆れながらも、ローディは彼の左肩と腕を繋ぐ部分に標準を当てた。
せめての情けとして、一瞬でやってやろうかね。


 ダァンッと銃声、パァンッと着弾音。
片腕を捧げてようやく解放されたシグレは、一瞬で魔力を右手に集め、

ギアーゼラの額らしき部分に当てる。
魔力解放の宣言は、極めて非道なモノであった。






「最終的に全部喰われるのは、お前の方だよ」


 文字通り、宣言通り、ギアーゼラは魔力に喰われた。