クロイス 第一話 | 異次元の壁の隙間部屋

異次元の壁の隙間部屋

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正直暴露すると、俺は自分の名前が好きではない。




第一話*記述なしのメモリー



『イクシオン』ってさ、伝説に出てくる幻獣の名前だよな? 
そんな大層な名前を俺が名乗ってよいものか。 どこかのバハムートのように強くないしさ。
名前負けしてるっていうのが、一番悔しくて、でもそれと対等になれる日が来るなんて来るはずないから
 だから、時折偽名を名乗る事にした。


 『ならず者』のローグ、どこかで聞いた『変わり者』という意味のディス。
それをあわせて、ローディ。 変わり者の、ならず者。
即興で考えた割には、出来はいい方だと思う。



 ……さて、現実逃避はコレ位にしておこう。
とりあえず目の前の問題をどう片付けようか。いや、どう避けようか。




「私のモンブランを返せええええ!!」
「バーーーーカ!!無理だっつーの!!潔く諦めろバーーカ!!」
「キャノンー、仕事サボるなー」
「おい刀慎その手にあるのは何だ。そのバールのようなモノの二刀流なんて見たことないぞ」
「うるせーぞー、ルーキー君が無茶苦茶引いてるぞー」


 リエン島を出て二日たった後、旅の行き先決めに協力してくれる

という情報屋に世話になることになった。
最初は港口で見事に迷ったものの、途中で出会った少女に案内してもらって、

到着する事は出来たのだが……
 いざ中に入ってみたら、この有様だ。



「ねー僕の任務まだー?」
「まだだな。進展が無いと動けない。ってデモスレとキャノンはこっちに来るなあ!!」
「おおおおりゃあああああああああああ!?」
「わあああ!?サーセン!!」




なんなんだこのカオス。なんなんだ此処は。
情報屋と聞いて、かなり暗い場所かと思ってたが……全然違う。暗いのクの字もない。
完全なカオスだ。いろんな人がいすぎて逆に怖いレベルだ。




「…………。」




絶句というか、絶望というか、放心というか。
もうフリーズ寸前だよ。というか、あれ? なんか飛んできてない?
何だあれ。バール? えちょまっ




「わあああ!?ルーキー君にバールがあああああ!?」




我が人生、巻き添えばっかり。





「初っ端から容赦ない入隊式アリガトウゴザイマシタ」
「俺じゃない」



いや、明らかに貴方でしょう。刀慎さん。
僕……フランは深くため息を付いた。
ようやく同期の仲間が入ったと思えば、手続き一日目で

バールを頭に直撃されたらしい同期のルーキー君。

大丈夫かなぁ……生きてはいるけどショック大きいだろうなぁ。



「新人の様子はどうだ?」
「一応生きてるって感じ。多分精神的ダメージが大きかったんじゃないかなぁ~」



トゥルーさんは「そうかい、とりあえずアイツラ減給だな」と非常に聞きたくない単語を吐いて
手続きに必要な資料を僕に渡してどっかいった。
あー、今回は僕がやるんですかー……。


「うぅ~……バールが……」



あ、起きた起きた。顔青ざめてるけど。
焦げ茶の瞳はまだ眠そうだ。むくりと起き上がってくれたから、身体に異常はないのだろう。
かなり警戒心があるようで、周りを見回して彼は呟いた。


「……もう何も来ないよな………」



 そりゃバールが飛んできた時点でトラウマ級だよね。普通はそうだよね。
僕のときは消火栓が飛んできたね。スクワタトォーレ!ってね。



「あぁ、バールはもう飛んでこな」



バビュン!!



 飛んでこないから安心してと言いたかったのだが、すぐ横をバールと三角定規が物凄い速さで通り過ぎていった。
ルーキー君は軽く涙目状態だ。うん、大丈夫とかそういうレベルじゃなく、こりゃ手遅れだね。
軽く投げた人を半殺し決定だね。



「あの……此処は何処ですか」
「もちろん情報屋だよ?」
「…………なんか、もう、全てが真っ暗だよ」



 どう足掻いても絶望。ってことだね。まぁすぐ慣れるでしょう。












「えーと、とにかく情報屋にようこそ」
まるで死の宣告みたいだけど、気にしない気にしない。


















**名無しの日記帳:01

 何もしないのもなんなので、日記を書いてみる事にする。
とりあえず今日は嵐のように忙しかった。
登録手続きに、情報屋内部の説明、別寮自室の鍵を受け取ったり。


あぁ、別寮っていうのは情報屋とか、表に出て来れない人たちが使う寮のことで
一人一つ。自室を持つことが出来るそうなのだ。というか持たされる。

 まぁ、なんとかやっていけそうだ。

……今日はもう疲れたし、あまり長く書くほど気力は無い。
明日からは任務を請け負っての日々が続くだろうし、いい加減休もう。

 そういえば。あの街で出会ったあの女の子、なんかヘンな気配してたなぁ
なんだったんだろうか。