【いしだ あゆみ/CD】

□ いしだあゆみ(1948〜)の歌手としてのスタートは1964年(ビクター)。1967年コロムビアから再スタート。コロムビア時代の主な新譜レコード発売時期は、1968年から70年代後半にかけて。

▶ #昭和歌謡


《筒美京平 ウルトラ・ベスト・トラックス》 ★◇
___(コロムビア COCA-14812~3)

*C1998 (2枚組)

disc⑴ー
01)ブルー・ライト・ヨコハマ P1968
02)太陽は泣いている P68
03)夢でいいから P68
04)涙の中を歩いてる P69
05)恋はそよ風 P69

06)ふたりだけの城 P68
07)あふれる愛に P68
08)明日より永遠に P68
09)ひとりにしてね P69
10)大人のための子守歌 P69

11)名前も告げず P69
12)恋する人形 P69
13)今日からあなたと P69
14)ある日街角で P69
15)誘惑的な午後 P70

16)ブルー・パール P72
17)あなたならどうする P70
18)何があなたをそうさせた P70
19)雨がやんだら P71
20)愛の真実 / Live ver. P73

disc⑵ー
01)さすらいの天使 P72
02)おもいでの長崎 P71
03)生まれかわれるものならば P72
04)ひとり歩きもできないくせに P71
05)白いしあわせ P72

06)愛よ行かないで P72
07)家路 P74
08)幸せのあとで P74
09)待ちわびても P75
10)時には一人で P75

11)冬の微笑 P75
12)ちょっと淋しい春ですね P77
13)夢のかけら P77
14)絵本の中で P72

15)ブルー・ライト・ヨコハマ / Live ver. ♫
16)涙の中を歩いてる / Live ver. ♫
17)太陽は泣いている / Live ver. ♫
18)ブルー・パール / Live ver. ♫°

♫(⑵15-18) P1970〔1969/Rec.〕
°筒美京平(p /⑵-18)

〈曲〉筒美京平 (全曲)
〈詞〉橋本淳 (⑴01, 02, 04-16, ⑵01-08, 12-14) ; なかにし礼 (⑴17-20, ⑵09) ; 喜多條忠 (⑵10, 11) ; 林春生 (⑴03)

◇Arr.: 筒美京平 (⑴01-19, ⑵01, 02,
04, 05, 07, 08, 14); 森岡賢一郎 (⑵09-13, 15-18); 前田憲男 (⑴20); 高田弘 (⑵03, 06)

◇監修・選曲:高護、榊ひろと

……⌘❶⑥


■ 「昭和」を飾る女性歌手の一人、いしだあゆみ です。今ひさびさに聴き直して特に強く感じるのは、それぞれの曲が、彼女しか出せない味というか、独自の雰囲気が醸し出された曲に仕上がっていることでしょうか。
歌声から いしだあゆみが歌っている曲だとすぐわかるのです。少し鼻にかかったような、ちょっと軽めの(場合によりやや安っぽい感じもする?)ような歌声ですが、決してイヤミにならない…… むしろこの声あって昭和高度成長期の時代を駆け抜けた歌手、昭和を感じさせる歌声になったのだ、とも思います。

■ 聴き直して彼女の歌の上手さを一番感じた曲は「何があなたをそうさせた」(⑴-18)でしょうか。確かに、曲の雰囲気から西田佐知子の歌と比較されることも多そうですが、曲そのもののつくりは、いしだあゆみが歌ったこの曲の方がずっと素晴らしいと思います。
やや暗めのメロディ・ラインではあるのですが、曲・編曲はもちろん、また なかにし礼の詞も才気を感じさせる佳曲です。タイトルも英語のフレーズを直訳した感じで面白く、歌のうまい歌手(と言われている人)でも、なかなかこの いしだあゆみが歌ったようには歌えません。声質・歌い方含め、この曲にはまり過ぎているほどで、あらためて感心してしまいました。

■ 筒美京平 和製ポップスの、そのごく初期作品でもある「ブルー・ライト・ヨコハマ」は その後も様々な歌手によってカバーされてきています。私の場合この曲の歌い出し部分を聞くと、バカラック(曲)の “Walk on by” のメロディと頭の中で重なってしまうことがあります。あるいは、「恋はそよ風」(⑴-05) の伴奏導入部が聞こえてきた途端、 “Do you know the way to San Jose (サン・ホセへの道)” を歌うのかと思いケース裏の曲目を再確認してしまうほどでした(汗)。もちろん曲は異なりましたが。
それだけ筒美氏がバカラックをかなり研究していたものと考えます。

■ もちろんバカラックだけてはありません。「あふれる愛に」(⑴-07)を聞くと何かに(編曲が)少し似ていて、ずっと考えていましたら、やっと思い至ったのが、フランス・ギャルのヒット曲「涙のシャンソン日記」(ゲンズブール・曲)の P.モーリアによるインストVer.の編曲でした。
蛇足ですが、ここに収録されている他の曲でも、1970年頃までの収録曲の中には、ストリングスを含む楽器の使い方が、モーリアらしく感じられるものがいくつかあるように感じました。
そんなところも、いしだあゆみの筒美京平ソングを今聞き直して興味深いところです。 🐾
(2017.3.01)

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