【平山三紀】 CD



□ 平山三紀(1954〜)の歌手活動、特にシングル盤新譜発売時期などは、主に1970年代。なお80年代には、新譜アルバムを数点発表しており、更にその後も活動は続け現在に至る。
現在の名前の表記は「平山みき」。

▶ #昭和歌謡



《Essential Best》


*SonyM.Direct   MHCL1260 (C2007)



01)真夏の出来事 (*a) P1975


02)ビューティフル・ヨコハマ (*a) P75
03)フレンズ (*a) P75
04)恋のダウンタウン (*a) P75
05)真夜中のエンジェル・ベイビー (*a) P75

06)やさしい都会 (*b) P76
07)愛の戯れ (*a) P75
08)熟れた果実 (*a) P74
09)忘れ得ぬ人 (*a) P74
10)私は女 (*a) P74

11)あなたの来る店 (*b) P76
12)私に触れないで (*a) P75
13)想い出のシーサイド・クラブ (*a) P74
14)やさしく歌って (C. Fox / N. Gimbel) P74
15)THIS MASQUERADE (L. Russell) P74

〈曲/詞〉 (*a) 筒美京平 / 橋本淳 ; (*b) 筒美京平 / 荒井由実

◇Arr.: 筒美京平(01-10, 12-15) ; 萩田光雄(11)

// (#カバー曲)


■ 筒美京平の秘蔵っ子とも言われ根強いファンも多い平山三紀。鼻にかかったような独特の声でうたを聞かせる歌手です。
私の場合、今までこの声にどうもなじみにくいところがありました。一番有名な「真夏の出来事」は編集盤などで聞いてはいても、それ以上聴いてみたい という気に、なかなかなれなかったのも事実です。
ただ、今回このSONY盤とコロムビア盤(この後記載)のベスト集を聴き比べてみると、この「真夏の出来事」などのヒット曲は、デビュー期のコロムビア盤よりもSONY-Ver.のほうが、その声のクセが強く出ているようなのです。

■ それはさておき、このCDで平山三紀がこんな曲を歌っていたのかーーと、惹きつけられ また平山三紀を見直した曲が2つほどありました。
一つは「真夜中のエンジェル・ベイビー」。なかなかのRockで、あまり大きく動くメロディ・ラインではないのですが、聴き手を独特の(情念的な?)波動に乗せ、そのうねるリズムに委ねると (少なくとも私には)結構気持ち良くさせてくれる曲です。

■ もう一曲はJazzyな「想い出のシーサイド・クラブ」。バックの演奏も洗練されていて、その小気味良さにも唖然とします。スコッチかバーボンか、オン・ザ・ロックのウィスキー・グラスの氷が微かにグラスにあたるような、あるいは微かな会話のさざめきの音まで混ざって聞こえてくるような雰囲気を醸し出した曲。別の意味で この曲も気持ち良く聞けました。
このような曲だと、彼女の声はほとんど気にならず、曲とかアレンジなどの中にスーッと入っていけました。広い意味ではやはり“歌謡曲”なのでしょうけど、最もイメージ的歌謡曲からは程遠い……
何となくではありますが、「思い出のシーサイド・クラブ」という曲は、筒美京平の地のセンスみたいなものが出てるのかなぁ、などということもふと感じたりしました。あまり他所では出てこないし、そういった曲はあまりないように思いますが。

■ 蛇足ですが、ラストTr.に置かれた、海外のかなり有名なカバー2曲、歌は取り上げるほどのものではないものの、筒美のバック演奏編曲を面白く聴きました。 🐾
(2017.3.11)




《ベスト・ヒット・アルバム》 *

*ColumbiaM.Ent.  COCA-71129 (C2007)**


**LPアルバム(P1972 /tr.01-14)にシングル盤の5曲追加(P73 /tr.15-19)



01)月曜日は泣かない (♪)
02)希望の旅 (♪)
03)真夏の出来事 (♪)
04)ノアの箱舟 (♪)
05)フレンズ (♪)

06)ビューティフル・ヨコハマ (♪)
07)マジック・ロード (さすらいの天使) (♪)
08)ノックは3回 (I. Levine, L. Brown)
09)20才(はたち)の恋 (♪)
10)潮風の季節 (♪)

11)この胸のときめきを (V. Pallavicini, P. Donaggio / 岩谷時子・訳詞)
12)ブン・ブン (♪)
13)ア・ハード・デイズ・ナイト (J. Lennon, P. McCartney)
14)いつか何処かで (♪)

15)帰らない恋 (♪)
16)思い出の朝 (♪)
17)銀河のはてに (♪)
18)私の場合は… (♪)
19)恋のダウン・タウン (♪)

〈曲/詞〉(♪)筒美京平 / 橋本淳

◇Arr.: 筒美京平 (01-19 全曲)

// (#カバー曲)

■ こちらのコロムビア盤は、彼女のデビューから3年ほどの期間に録られたもの。ソニー盤と重なる曲を比べると、デビュー間もない頃の(こちらの盤の)ほうが、平山三紀独特の声質はややクセが少ないように(また微妙に甘ったるさもあるように)聴こえます。「真夏の出来事」は、やはりこちらの声でヒットしたのだと私は勝手に確信してます。

■ 個人的な好みで言えば、(南沙織が歌っていても良さそうな) やや爽やか系メロディの「潮風の季節」。この頃の平山三紀が歌っていても別に違和感はありませんし、メロディの良さも感じます。また、詞・曲のつくりから面白く聞いたのは(ソニー盤だと曲の配列からか?さほど印象に残らなかった)「恋のダウン・タウン」でした。

■ カバー曲では、彼女の音域に合わせ筒美がうまく音程を調整した編曲「この胸のときめきを」が、意外にも(!?)一番まともに聞けました。曲全体の編曲も原曲の良さを殺さず、また独自の味を付加したセンスの良さを感じます。
なお「ア・ハード・デイズ・ナイト」は ジョー・ダッサンが歌った “オー・シャンゼリゼ (Les Champs-Élysées)” のような ややホンワカした雰囲気で編曲されてます。悪くはないのですが、私には少し肩すかしされたようなーーww

■ 蛇足ですが、「20才の恋」のイントロ伴奏などは、サンタナの「ブラック・マジック・ウーマン」風ですし、「いつか何処かで」の曲のアタマは、モロに5thディメンションが歌った「ビートでジャンプ」(曲・ジミー・ウェッブ)です。こういうところ、筒美京平サウンドを聞く面白さでもあり魅力の一つでもあります。 🐾
(2017.3.22)