論文初年度は総合得点比率が50だったので、次は2程度上積みすればいいのだが、確実に合格するためにも、余裕をもって計画する必要があった。




まず、私は何故落ちたのか考えた。




要因は二つ。





勉強不足とマインドの弱さだ。





直接的な原因は勉強不足ではあり、仕事で勉強時間がなかなか取れなかったのもあるが、マインドに弱点があったから、勉強を怠ってしまった。



今になって振り返って思うのだが、勝負事だったり成功する上では、本当にマインドが重要だなと改めて感じる。



それは、受かる前と後の自分の比較もそうだったが、実力はあっても落ちている人を見ても、そう感じてしまうことがあるからだ。



考え方であったり、イメージであったり、心の持ち様は、正直その効果に対して懐疑的であったのだが、今となってはその重要性を強く認識している。



メンタルについてまず取り組んだのは、自分は受かるとか大丈夫だとか、そういう甘い考えは一切捨てた。



そして、自分は落ちるかもしれないという暗示をかけて、常にプレッシャーをかけるようにした。




勉強不足の面は、フルタイムでは働かないことに決めた。


初年度は基本的に定時で上がれたりはしたが、それでも疲れてなかなか勉強出来なかったからだ。


金銭的な事情もあるため、アルバイトで週3日程度が望ましいと判断し、会計事務所を中心に求人を見つけた。




次に、科目ごとに今後どうやって勉強していくか方針を立てた。




そこで私は、各科目ごとの特性を考慮し、監査論でいうリスク評価をすることにした。




まず、以下のように六科目を四つに分類した。


勉強すれば安定して得点が見込める科目
租税法、財務会計、統計学、企業法


実務でよく使う科目
財務会計、監査論、租税法



苦手意識がある科目
財務会計、管理会計、統計学


得点の変動が激しい科目
監査論、管理会計


以上の四つの観点から科目を分類した結果、勉強すれば安定的に得点が取れる科目を最重視し、その他の要素を総合的に考慮した。



こうして論文試験の得点戦略は、以下のように固まった。



得点比率60以上:企業法、租税法
科目合格レベル:財務会計、監査論
平均以上:管理会計、統計学


租税法
不得意の人が多いし、得意にすれば大きなアドバンテージを得られる。論文科目なので、5月組は不利になる。この科目は全科目の中でも最も好きな科目であり、実務上重要な科目でもあるので、得点比率60以上は絶対に取るようにしたい。


企業法
実務ではあまり重要ではないが、定義や趣旨をきちんと暗記すればある程度の点数は安定的に取れるし、元々法学部だったので、好きな科目であり、法律科目は意地でも取りたかった。


財務会計
実務上、この科目が出来ないと話にならないし、他の科目より倍の得点がある科目で足は絶対に引っ張れない。ただ、計算が不得意で得点比率60以上は望めないが、科目合格レベルであったらなんとかいける。


監査論
財務や論文独自科目に勉強資源がいき、監査論を勉強する時間があまり取れなくなるが、そもそも抽象的で実務的な科目であり、苦手な人が多い。財務と同様、実務で重要な科目であり、暗記科目ではあったが、好きな科目だった。だが、この科目の難点は得点の変動が大きいことだ。自分の出来の感触と実際の採点の乖離が激しく、これを最重要視に勉強するにはリスクが大きかった。科目合格レベルまではいくようにすることにした。


管理会計
財務や論文独自科目に勉強資源がいき、管理会計を勉強する時間があまりとれなくなる。おそらく、論文科目の中で最も難易度が高く、リスクが高い科目だ。苦手にしている人も多い。ここで多少失敗しても、財務で挽回すればいい。最低でも平均以上は取るようにしたい。


統計学

完全に理解が試される試験であり、ある程度勉強すれば少しのメンテナンスで実力が維持できる科目である。初年度にある程度理解が進んでいたため、勉強時間は全科目中最小限に抑え、その時間を苦手な財務に充てることにした。得点比率は平均以上取れれば充分だと判断した。




仮に本試験で致命傷を負ったとしても、耐えられる得点を取れるように、総合得点比率は55以上を現実的な目標に考え、論文二回目の勉強が始まった。