いいことを聞いた。

 久しぶりだと超盛り上がるらしい。



 会いたいのを我慢して我慢して,やっと会えたらなんか新鮮でめちゃくちゃ興奮するって,ジェジュンヒョンが。

 実体験?

 詳細はよく聞いてないけど,要するに会いたくても会わない我慢と会えない状況が大事ってことらしい。

 そんなに難しくないし,どれくらい我慢したらいいのか実験したいし。

 我慢するためにユチョンになんて言おうか。

 とりあえず会いにくるなと言ったら即行でじゃあ行かないと言われた。

 さみしくなっても知らないからな。

 ユチョンが我慢できるかテストしてやる。

 ……とか思ってたらさみしくなってきたのは僕の方だった。

 会えないっていう縛りは効くな。

 会えないわけじゃなくて会ってないだけなんだけど。

 ただ,勝手になんとなく会えない状況にしちゃってるだけなんだけど。

 ユチョンのことばっかり考えたりしてる。

 会いたいな。

 すごく会いたい。

 こんな風に恋しくなったことってないかも。



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 会いにくるなと言われて反射的にじゃあ行かないと答えたけど,やだよ。

 普通に会いたいし。

 サッカーなら来てもいいよって言われた。

 いわずもがな。

 どういうプレイなんだよこれは。

 ジュンス曰く実験らしい。

 あり得ないくらい長期間会ってない。

 ジェジュンヒョンからは,ジュンスと会ったとか,ジュンスは雑誌の仕事だとか,今日はサッカーだとか,ちょこちょこ話は聞いていて,何してるかはそれなりに分かってたけど,ジュンスからの連絡はなし。

 なんかないの。会えないにしても。

 思い出したように会いたくなってたまらなくなってきた。

 何してんの。

 会いたいんだけど。

 俺ばっかりこんなに会いたくなってるのがおかしいし。

 っていうか俺ばっかり?

 会いたい。

 まじで会いたい。

 なんなんだろう。

 別に責められてもいいから,会いにいけばいい。

 来いって言ったっていいんだし。

 でも,俺はただ待つべき。

 こういうので先に根負けするのは勝手なジュンスの常套手段だ。



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 顔を会わせた瞬間に駆け寄って抱きついてしまった。

「あー,会いたかったー」

 どきどきする。うれしくて。

 これだ,ジェジュンヒョンが言ってたの。

 意味もなく笑っちゃうくらいうれしい。

 なんか,まっすぐ顔を見上げただけでちょっと照れくさくて,心臓がどきどきいうから,目を閉じてユチョンの肩に顔を伏せた。

 会いにくるなって言ったの,僕なのに。

 もうそろそろいいかなと思って。

 結局会いたいって言ってユチョンの家に来てしまった。

 だってがまんを競っても意味ないし。勝ち負けじゃないし。

 会いたくなったら会うでしょ。

 ユチョンに強く抱きしめられたら,もうどうにでもしてって気分になってしまった。

 もしかして,ユチョンも僕に会いたかったかな。



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 会いたかったなんて言われて心から素直に喜んでしまってるけど,元はと言えばジュンスが会いにくるななんて言ったくせに。

「俺も会いたかった」

 責めたい気持ちもあるのに,口から出るのは甘ったるい言葉。

 ジュンスを抱く腕に思いのほか力が入った。

 多分,俺の理性と複雑な心境とは裏腹に,フィジカルな我慢が効いてない。

 暴走しそうなのがちょっと怖い。

 深層心理にあるジュンスへの執着のようなものが,思いも寄らず俺の自制心を切り捨ててしまうのが。

 ジュンスを画面でばっかり見てたから,久しぶりに本物を見るとちょっと感動した。

 何がおもしろいのかずっと楽しそうに笑ってるジュンスを見て,思わず顔が綻んでしまう。

「なに。ジュンス」

 目が合えば,またジュンスが楽しそうに笑う。

 表情は緩んでるけど,これでも実は少し怒ってるんだぞ。

 会いにくるななんて,よくも言ったな。

「ジュンス,実験は?」

「実験はもう終わり! 結果でた」

「まだでしょ」

「もうわかったよー」

「うそ」

「だって,今すごく気分いいもん」

「気分よくなる実験?」

「ふふ,そう」

「もっとは?」

「ん?」

「俺がもっと,気分よくしてあげる」