いつもそうだ。マニアを何か特権のように言うけど,僕はそんなの許した覚えはない。
これまでにユチョンがハマったマニア行為の中で嫌だったのはいろいろある。
ちゃんと嫌だって言ってるけど,ユチョンはブームが去らないとやめない。つまり,常に次のブームが来ているということだ。
ちなみに今は,お風呂に一緒に入って,時間を掛けて僕の体をあちこち全部洗うこと。おかげでお風呂に入る度に体力を消耗させられる。
一番嫌だったのは,……まあいいや。あんまり思い出したくない。
だから,今後どんなブームが来たとしても驚かないし,ある程度許容できると思うけど,さすがに写真を残されると怖い。
僕自身には別に何してもいいけど,記録に残るのはまずいものがある。
写真や動画なんて撮られ慣れすぎてる。いつどんな表情や言動をしていても,人前に出ている限り記録されてしまうのは当然の如く理解している。僕は割と許容範囲が広い方だと思うし。
ただし,トイレとえっちは絶対だめだろう。
「ユチョンは誰かに見られてもいいの?」
「いいかも」
「ふざけるなー!」
「見せない,見せないって。うそだよ」
「だったら消してよ」
「え,だめ」
「なんで!」
当たり前だろうみたいな顔してるけど,僕には分からないからな。
ばかばかしいなと思ったけど,何も答えないユチョンにいらいらして,よく考えないで言ってしまった。
「消さないと別れる」
言った瞬間,ユチョンがきょとんとする。
しばらくして余裕の微笑み。
「別れる? ジュンスが? 俺と?」
ずいぶん余裕だな。
「本気で言ってる?」
……怒った? なんで低い声で言うの。怖いじゃん。
ていうかなんで目もマジなの。つかまれた肩がなんか痛い。
「そんなことできると思うの。逆にね。別れたら,これ消せると思う?」
しまった。やっと自分が軽率だったことを理解した。
「誰かに自慢してもいいなあ。これは俺だけのものだって」
ユチョンがうっとりしながら僕の肩から首に掛けてを両手でつかむ。
「ジュンスが俺だけにこんなこと許したんだよって。だから消したりしない。ずっと持ってる。ジュンスのこと,いつでも全部思い出せるように,ずーっと」
「ぼ,僕が間違ってました……」
そんなんじゃ逆に消してもらえないじゃないか。
しかもちょっと機嫌を損ねましたか。めんどくさいな。
唇に音を立ててキスされる。
「分かったらよろしい。お詫びに愛してるって言って。ユチョンになら何されてもいいって言って」
「ええっ?」
なぜそこまで。そんな恥ずかしいことを。
「じゃあお詫びじゃなくて本心で言って」
僕の首をつかんだまま,つぶやいたユチョンの舌が耳に入ってくる。
僕を脳みそから犯そうとしてるのかもしれない。
背筋がぞわっとする。怖くはない。
ユチョンから与えられる性的な快感なのだと冷静に思う。
ユチョンの舌が外耳を舐め回し,穴で抜き差しする。
水音がすると,全身に鳥肌が立った。
「言わないと,噛み千切るぞ」
ピアスの周りを甘噛みされ,耳たぶを歯に挟んだまま脅される。
「暴力反対……」
「素直に言わない子にはおしおき」
僕ののどの上でユチョンの両手の親指が交差されて,そっとのど仏を押してくる。
アイスクリームを舐めるみたいにあごを舐められる。のしかかってくるユチョンの体が重い。
「ジュンス,愛してる」
「ぅぐ」
普通に声を出そうと思ったら変な音が出た。のどが圧迫されてるからか。
太股に思いっきりユチョンの硬くなったのが当たってるって,サカり過ぎだって,ちょっと文句を言いたかっただけなんだけど。
「素直に言えるようにしてあげる」