Twitterで感想を目にして、たぶん私の好きなやつなんだろうなとは思っていたんですよ。
観念してついに読みました。
やっぱり好きなやつでした。
というわけで、オルクセン王国史の感想を書いていきたいと思います。
ネタバレについては、話の根幹には触れない程度にやんわり。
漏れ聞こえる話から「これ自分好きなやつじゃ」となる人が一人でも出てきてくれれば幸い。
ちなみに書籍化版小説を現在発売済の2巻まで、コミカライズ版を単行本発売済の1巻と無料公開期間中に読むことのできた第5話前半までを読了済み、という状態です。
2巻を読み終わった今、素直に3巻の発売を待つか、完結済みのなろう原作版を読むか悩み中。
まず何が私の好きそうなやつ要素かっていうと、複数のファンタジー種族が共存して国を作ってるところですね。
TRPGでもいわゆる人間種族以外も選べるやつが好き。
そして、多くはいわゆる中世風ファンタジーに出てくるような種族でありながら、時代観は近代、本文中に出てくる言葉を借りるなら
「剣と魔法」の時代から「銃と魔法」の現代へと移って久しい
そんな世界に適応して生活する各種族の国民たちの様子がいいんですよね。
特にオルクセン王国で多数派を占めるオーク族のみなさん。
一般的なオークのイメージに違わぬ本能は本作においても備わっているとしながらも、それを農業改革や諸制度の施行によりこの世界としてはかなり高度な文明を享受し、また取り扱っているギャップが面白い。
そしてその豊かな国家から繰り出される飯がうまそう!
そんなオルクセン王国改革の柱、国王グスタフ・ファルケンハインがいい牡(おとこ)でね……
カッコいいところもかわいいところも兼ね備えた我が王(マイン・ケーニヒ)。
「ならば汝とその仲間は我が民だ、我が同胞だ、ディネルース。その忠誠に我が全身全霊を以て報いよう」
逃れてきたディネルースたちダークエルフ族を受け入れるこのセリフ好き好き大好き。
なんなら実際に読んでみる前、Twitterで誰かが紹介していたコミカライズ版でのこのシーンのスクショを見たときから好き。
若干オルクセン王国史の感想からは逸れるんですが、私の好きなキャラ属性に「女騎士」がありまして、TRPGでもちょこちょこ女騎士を目指してPCを作るんですよ。
でも最近、「いいキャラにできてるとは思うけど女騎士としてはいまいち乗り切れないな」ということが多くて。オルクセン王国史を読んで気付きました、我が王(マイン・ケーニヒ)が足りてなかったわ。
オルクセン王国史はむしろ騎士の時代が終わった後の話なんですが、それでも臣下や兵士たちの篤い忠誠心、それに報いようとする王グスタフの想いを読んでいると、自分も朝市に集まった国民の中に混ざり我が王コールを送りたくなります。
そのグスタフがやった改革、ちょっと革命的が過ぎるだろ……これを一人で? さすがにこう、なんというか、創作にはつきものかもしれないが都合よすぎでは?
などと、楽しんで読み進めつつも1巻の終盤に差し掛かる頃にはそんな疑念も芽生えなくはなかったのですが……その1巻の〆で明かされた事実ですべて払拭してくれました。その要素をここのタイミングで持ってくるか!
言われてみればちゃんと序盤から伏線張ってるんだよなあ。
なんか我が王の話ばっかりしちゃうな。
好きなシーンについても書きましょう。
タウベルトくんかわいいね。魔種族たちはほぼ不死ということもあって実年齢については分かりませんが、まだあどけなさの残る純朴な青年といった雰囲気。小説版を読んですぐ後にコミカライズ版でも演習のシーンを読んだので、そのかわいいお顔を見ることができて感動しました。
助かってよかったねぇ……
巷では兵士一人のために演習中止は王・司令官として甘すぎるのではないか? という意見もあったそうですが……でもそれが我が王のいいところだからさ。
あとこれは小説版の2巻で分かるところですが、グスタフも自分の意志で、兵たちを死地に送る覚悟はしていて、それ故に平時ではなるだけ誠実にあろうとすることで生来の優しさとバランスを取ろうとしているのではないかと思います。
あと即中止を決断したのはグスタフの優しさが先行してのものだとしても、結果的にはそれで良かったと思いますね私は。
コミカライズ版での、リア・エフィルディス大尉に感謝を述べる曹長の表情よ……! 部隊の若いのが死んだってだけでキツイじゃん、戦時中ならこれも戦場の定めと諦めもつくものを、訓練中の事故でってなるとかなりくるって……! そんなこんなでめちゃくちゃ曹長に感情移入してしまい、この場面は泣けました。
もう1個好きなシーン。
2巻でグスタフと交際を始めたディネルースが、そのことで憶測を深めつつあった部下たちに一言告げておくところ。
狩猟を生業にしていたような女ばかりの種族であの言い回しはそら盛り上がるわ。さすが数百年単位で氏族長やってただけのことはある。少将殿の人心掌握術を見せられた思いでした。
2巻は戦争準備編ということで、軍民一体となって対エルフィンド戦争の備えを進めていきます。
素敵な挿絵と共に登場したファーレンス夫人他、軍から協力の依頼を受ける各企業の長たちが、だいたいみんなエルフィンドに恨みを持って復讐の炎を燃やしているのですね。
前線でドンパチする兵士だけでなく、物資を運搬したり食事を用意したり怪我人を治療したりする後方支援役、さらに後方支援役が運んだり使ったりする品物を用意する商人・職人・農民その他、彼らをつなぐ鉄道の線路を点検・修理する整備士たち。
国のすべてで戦争をしていると言っても過言ではない。
そういう意味では、戦争準備編と言いつつ既に戦いは始まっていると言っても過言ではないですな。
その成果が見られる3巻、今から続きが楽しみです。
タウベルトくんどうなってしまうのか……2巻で再登場してくれたのうれしかったのですが、それはつまり、目撃してしまうことになるのか……?
ジャンル上は異世界ファンタジー戦記になるでしょうが、実態はオルクセンという国の政治・経済・軍事各方面の描写がふんだんに盛り込まれています。
タイトルがオルクセン「戦記」でなく「王国史」となった所以でしょう。
異世界国家の仕組みとか兵站の話とか延々読みたい人にオススメ、君も我が王グスタフ・ファルケンハインを讃えよう!
