先日行われたケイビング安全研修の一コマ。大人気ないスタッフの話。
迫り来る修学旅行のツアーコース確認と、日ごろから行われている、一般ツアーの安全運営研修を、自称ODSSケイビングトップガイドと自負する、うっけん、AJ峰そして、蒼い妖精ことパパの3人が美山鍾乳洞に向かった。
朝から予想以上にまとまった雨が降り続き、いまいち盛り上がりに欠ける3名。淡々と、日ごろのどんなガイディングをして、どうしたら参加者を安全に進ませることができるかを、実際のツアーさながらの動きを交えてディスカッションが行われた。
ケイビングツアーはほとんどが1ガイドで運営しているので、他のガイドがどんな事に気をつけているか、改めて知るいい機会だった。しかし、探検心満載のこの3人がこのまま終わるはずがなかった。っていうか、予想通り違うベクトルに向かいだした。これいつものことだけど・・・。
口火を切ったのはAJだ。あれほど今日は安全に関して3人でしっかり話し合おうといったのにもかかわらず、気になる穴を見つけたら、「あれ?これちょっと気になるな、俺行ってみますわ」と2人の同意も得ないまま、誰も踏み入れていないだろうと思われる穴に向かった。
この行動に敏感に反応したのがパパだった。ここ数年、新しいコースがいくつか発見され1年に1箇所のペースでツアーコースが新設されていった。ツアー開拓にもっとも意欲的だったAJは3年前に、もっとも長いコースであるミネズルートを発見している。彼の一生涯の自慢であることに間違いない。悔しいがこれいい穴なんだな。
ケイビングガイド13シーズンを迎えながら今だ勝ち星がないパパは若干の焦りがあった。しかも目の前でAJがルール違反の行動に火がついてしまった。いつもなら見つける穴全て行き止まりで悔しい思いをするのだったが、今日は違った。
いつも通るコースのすぐ脇に未だ未開拓の穴を発見。かつてないほど狭い穴を体中泥んこになりながら、クネクネ降りると広いホールに出た。さらに進むとループして通常コースに復帰した。念願のNewルート開拓。Newルートの絶対条件である、周遊コースを見事に見つけたのだ。思わずニヤリ。
しかし、AJの冒険心に更に火をつけてしまい、悔しいがな奴は直ぐさま短いながらそれなりに面白いコースを発見。通称「ミループ」と命名された。
これで嬉しさ半減、パパは業務をそっちのけで新たな穴開拓に向かった。しかし彼には勝算があった。実は前々から気になる穴があったのだ。それは、ケイビングのメインイベントである、10mの竪穴登りの上り口にあった。初めは狭いが体をよじらせ穴を潜ると、上下に広がるホールに出た。いくつかの支洞があったので、調査する。しかしその都度行き止まり。
我慢強く次の穴を進むとなんと竪穴の直ぐ脇に出たのだった。半日で3本のNewコースの発見。こんなこともあるものだ。さすが自称トップガイド達だ。実はこのコースの上部は雨水がコースをふさいでいたので、開拓をあきらめたのだ。次回このコースが抜けていると、新たに観光洞窟に出る素晴らしい発見となる。ミネズルートをしのぐ可能性も高い。
「近いうちに必ず」の思いを胸に秘め、クタクタになりながら美山鍾乳洞を後にした。
最後に残された秘境は地底の世界にある。人類初の一歩を残すのならばケイビングの世界にどうぞ。
本来ならばこの快挙を写真でお伝えしたいのですが、このような活動の場合ガイドもその余裕もありません。
それ以上にカメラが壊れるのが必死である。つたない文章でその雰囲気だけでも伝われば幸いである。