映画「哀愁しんでれら」 | MOONLIGHT EXPRESS ムーンライトエクスプレス

映画「哀愁しんでれら」


10年ほど前、中島哲也監督の映画「告白」を試写会に観に行った。

一緒に映画に行ったのはその当時仲良くしていたSちゃんで、彼は中島監督の映画がとても好きで試写会に応募し当選したのだ。

映画は割とショッキングな内容で、松たか子が演じる中学生教師が幼いわが子を自分の生徒に殺され復讐する話だった。

観終わった後なんとも言えない後味を味わったもののその映画を僕は面白く感じた。

一緒に映画を観たSちゃんも割と面白かったと言っていた気がする。

タキザワに勧めるとつまらなかったと評していた。

僕はタキザワの評価を聞いてハッとした事を覚えている。

この映画をつまらなかったというタキザワの方が正しい気がした。

それは二人の子がいる家庭を持つタキザワと仕事も持たず結婚もしていなかった無責任な僕との立場の違いが大きく影響していた気がする。

「哀愁しんでれら」を予告や前評判から面白そうで何となく選んだ。

主演の土屋太鳳の魅力がイマイチわかっていないのでどうだろうという気もあった。

映画を観てみると「告白」とよく似たタイプの映画だと思った。

共通する要素がいくつも見られた。

この映画を観て「告白」に対してタキザワが感じた気持ちが想像できた気がした。

映画は飽きずに最後まで観られたがとても酷い話だった。

ちょっと趣味が悪いと感じた。

タキザワは「告白」を観た時に同じような気持ちだったんじゃないかと思った。

10年前と違い僕は結婚し仕事を得て家庭や社会に責任を持つようになった。

その事が影響していると思うが概念として受け入れがたい映画だと感じた。

結婚や子育てがテーマのこの映画で主人公やその夫、夫の連れ子の価値観や行動に共感出来ずとても否定的な気持ちになった。

もちろん映画で表現する内容に出来るだけ寛容でいたいと思うので、映画そのものやこの映画を好きな人を否定する気は全くない。

それでも僕はこの映画を好まない。

それは僕が成長したのかもしれないし、単に映画の好みが変わったのかもしれない。

出来ればこんな映画を選びたくないが、映画を観ている時は楽しんだ。

映画館で馴染みの客と酷い話だったと言い合ったのも良かった。

興味があれば確認してもらいたいと思う。