映画「佐々木、イン、マイマイン」
映画館を出てスマホをチェックするとタキザワからメッセージが入っていた。
「佐々木、イン、マイマイン観た!凄かった!好き嫌いは別にして日本の青春映画の新たな傑作だと思った!ここ数年の日本のインディペンデント映画の中で最も印象深い作品で36セカンズの監督の様に突如現れた才能!」
タキザワの興奮が伝わった。
僕も「佐々木、イン、マイマイン」を見終えたばかりだった。
同じような時間に示し合わさずに同じ映画を観るなんて一緒に映画を観に行ったようで嬉しかった。
僕はと言えばまだこの映画をうまく呑み込めていなかった。
とにかく凄い映画を観たという印象だけが強く残った。
タキザワは映画館で後日もう一度映画館でこの映画を観てやはり凄かったと感想を寄せてくれた。
タキザワの熱が伝わった事もあるが、確かに凄い映画だと思う、傑作と言っていい。
僕は前情報が全くない状態で惹かれて映画を観に行った自分の感覚の正しさが嬉しかった。
佐々木は友達に囃し立てられ佐々木コールをされると共学の高校で女子がいても構わずに服を脱ぎ踊りだす。
かといって佐々木はただのお調子者ではなく複雑な家庭環境に育っている。
母親はいないようだし、父親もたまにしか帰って来ない。
備蓄された即席めんが命綱だ。
主人公は佐々木と高校時代につるんでいた友達で東京に上京し役者を目指している。
別れた彼女と同棲を続け、怪しいアルバイトで食いつなぎ、鬱々とした生活を送っている。
高校時代に佐々木と一緒につるんでいた中の一人と東京で再会し佐々木の事を思い出す。
佐々木は強烈な奴で友達である主人公のマインドに大きく佐々木が宿っている。
誰の中にも自分に大きな影響を与える友達というものはあると思う。
佐々木ほどのインパクトはないが僕の中にもそのような友達はいるし影響のあった何人かはブログにも書いた通りだ。
この映画では佐々木の複雑な人物像を丁寧に魅力的に描き、取り巻く人間たちも個性的だ。
タキザワが好きかどうかは別としてと書いた意味が理解できる気がする。
佐々木の成長っぷりや大人になってからの人間関係、主人公の行き場のない生き方などもリアルに表現されていて居心地の悪さを感じる。
だからこそ凄い映画だと思った。
高校時代の佐々木はカリスマだしヒーローだった。
それはただ悲惨な生活な中で一生懸命にもがいていた姿だと思う。
僕はこの映画が好きだしこの映画を僕に影響を与えた友達と共有できた事を嬉しく思う。
確かに好き嫌いは別れるかもしれないが観ておいた方が良い映画だと思う。