ヤンキー達の末路
僕は中学二年生の一時期ヤンキーと行動を共にしていた。
僕の学年のNo2のMくんと同じクラスで仲良くなり、一緒に登下校しつるんでいた。
Mくんは学校の成績は全然よくないが割と頭の良い男だった。
No1はJくんで喧嘩が一番強いが子分を引き連れるタイプではなかった。
僕はNo3のOくんと小学生の頃ケンカしたことがあり、それでみんなから一目置かれるようになったと以前ブログにも書いた。
Oくんはコウモリタイプで情勢を見てJくんに取り入ったり、Mくんに取り入ったりしていた。
その結果、二人からハブられるような奴だった。
時代のせいか、僕の中学ではヤンキーが一番幅を利かせていた。
喧嘩が強い奴がヒエラルキーの頂点で、勉強が出来る奴も、スポーツが出来る奴も、見た目が良い奴もヤンキーより下だった。
僕の学校のヤンキーは見た目もいい奴が多く、女の子にもモテていた。
僕はMくんの彼女の友達のとても不細工な女の子と付き合っていた。
No3より下のやつらは似たり寄ったりでそれほど目立つ奴はいなかった。
実際には体格の良いTくんやDくんの方が喧嘩が強いのかもと思ったが、ランクが上の奴に逆らう事はなかった。
何がきっかけか分からないが僕はヤンキーとつるむのを辞めた。
クラスでも喧嘩とは無縁のグループに入った。
給食のおかずを人より多くもらえるような特権はなくなったが、ケンカと関係ないグループの方が僕は馴染んだ。
結局、僕は高校受験に失敗したし、私立の落ちこぼれ学校に進学した。
ヤンキー達は偏差値の低い学校に進学した。
JくんとOくんはH高校へ、MくんはY農業高校へ。
高校生の時僕のバイト先のロッテリアにMくんが訪ねて来た。僕らが憧れていた2個上のTの姉ちゃんを連れてきて今からラブホテルに行くのだと自慢してきた。
あれが僕の知るMくんのピークだった。
僕が大学生の時、KちゃんのおばさんにMくんが自殺したと聞いた。
ヤンキーらしく早く結婚して子供もいたが、借金を苦に自ら命を絶ったそうだ。
5年前同級生の飲み会にOくんが来た。
大病を患っていて酒も飲まないように言われていた。その後病気は悪化し、自分の母親の葬式にも顔を出さなかったそうだ。
Jくんはうまく就職できず、知り合いの魚屋を手伝ったりしていたが今は引きこもりになったらしい。
ヤンキーが不幸になるのではないが、人生のピークが早いと悲惨な目に遭うのかもしれないと考えることがある。
僕のピークは高校・大学の時だったと思う。
大学生の時は高校の時の自分がお山の大将だった感覚が抜けず、高校の友達や先生と上手く付き合えなくなってしまった。
社会人になっても、学生の時のノリノリの感じが残っていて、厳しい社会人生活に馴染めなかった。
病気を何度も経験し乗り越えて今が本当のピークのような気がする。
紆余曲折しピークを更新できたのではないかと思う。
僕の今いる山はとても低い山だが、苦労せずに歩けて心地よい。
僕が中学生の時に付き合っていたヤンキー達の山もそんなに高くなかったのではないだろうか。
中学生の足で軽々とピークまで行けたが後はずっと下るだけだったかもしれない。
もしも僕が同じ山を登っていたら僕は今よりも不幸になっていたかも知れない。
もちろん、人の幸不幸なんて傍から見ても分からない。
彼らは彼らで幸せだったかもしれないし、僕の経験できなかった多くの事を経験したのだと思う。
ただ僕は生まれ変わっても田舎のヤンキーになりたくないと思う。
彼らと同じ山を登らなくて良かった。