映画「暗数殺人」 | MOONLIGHT EXPRESS ムーンライトエクスプレス

映画「暗数殺人」



京都アニメーションに放火し、36人の犠牲者を出した事件で、青葉容疑者が事件から10ヵ月余りが経った先日逮捕された。

自身も大やけどを負っており、当初は95%の死亡率であったところ、懸命な治療で一命を取り止め、逮捕時はストレッチャーで運ばれる姿が映された。

大学病院で治療にあたった医師が「青葉容疑者の治療に力を尽くしたのは、被害者と真相究明のためだ。罪に向き合ってほしい」とコメントを語ったそうだ。

当初、青葉容疑者はどうせ死刑になる命を助けても意味がないとなげやりな態度を見せていたが、懸命な治療を受けて態度の変化も見られたとネットニュースに書かれていた。

僕はこの事件の経過を聞いて、ただで死なすわけにはいかないという気持ちが理解できる。

きちんと事件の全貌を明らかにし、罪を償わせるべきだと思う。

ただ死刑にするのは生ぬるいと思い、地獄の責め苦のようなものを味合わせ、十分以上に自分の犯した罪を後悔させたい気持ちで一杯である。

この映画は何人もの人間を殺しておきながら罪が明らかになっていない男とその罪を暴こうとする刑事の話である。

タイトルにある暗数とは現実に発生した犯罪のうち、犯罪統計では把握されない犯罪数をいうらしく、犯人の男は多数の暗数殺人をほのめかしている。

犯人に自分の罪を自白させるために、刑事は犯人の要求通りの品物を送り大金を払う。

こんな事があり得るのかと思うけど、実話に基づいた話だ。

警察署長に刑事は過去の事件なんか調べてもロクなことにならないので、新しい事件を解決するように促される。

しかし、刑事はまだ明らかになっていない犯人の事件にこだわり捜査をする。

あらゆる手を使って事件を明らかにし犯人に罪を償わそうとする姿勢は、青葉容疑者を執念で治療する医師の姿勢と通じるものがあると感じられた。

映画の序盤は、犯人の意図や事件の様子が分からないことから、やや退屈したが、中盤以降色々明らかになっていく内にだんだん面白くなった。

嘘の自白で自分の罪を軽くしようとする頭の良い犯人と犯人の嘘に惑わされないように真実を追い求める刑事の駆け引きが良かった。

近年の韓国映画はとても面白く、特に実話に基づいた映画に外れがない気がする。

狂気を帯びた頭の良い殺人犯を演じた俳優は人気のある若手俳優だと思うが素晴らしい演技だった。

静かに真相を突き止める刑事も良い役者だった。

また一つ面白い韓国映画に触れ大変満足した。