映画「HOUSE」 | MOONLIGHT EXPRESS ムーンライトエクスプレス

映画「HOUSE」

先日、亡くなった大林宣彦監督の劇場初監督作品である。

大林監督の作品はあまり観たことがなくて、監督の作品として意識せずに観た「青春デンデケデケデケ」は結構好きだった覚えがあるが、有名な尾道三部作も大分が舞台の「なごり雪」なんかも未見である。

特に「なごり雪」なんかは縁があり、両親の出身地である臼杵市で撮影され、伯父さんが経営するビジネスホテルに撮影スタッフもキャストも宿泊していたのに何故か興味が湧かなかった。

それでも近年タキザワに薦められて観た「この空の花-長岡花火物語-」の演出の面白さにハマり、「花筐」なんかは劇場で観た。

いつも聞いているTBSラジオの「たまむすび」の町山智浩さんの映画紹介コーナー「アメリカ流れ者」や「アフターシックスジャンクション」で宇多丸さんらが大林さんの追悼の話をしていた。

その中で「HOUSE」はトンデモない演出の映画で、劇場で観た時は度肝を抜かれた。CM作りで有名だった大森監督の初劇場映画に失望した人も多かったと聞いた。

今回、僕はコロナの影響で閉館していたある映画館の再開の為のシミュレーションとしての試写に招待されてこの映画を観る機会を得た。

映画の観かたとして、その映画の世界にどっぷりとハマるために、見事に作られた完璧な映画を求める人たちがいる。そういった人たちは何度も映画を見直し細かいディティールに注目し、設定の意味を深く考察する。

そういう見方も楽しいと思うが、僕の映画の観方としては、細かいことは気にせず、滅茶苦茶な演出や破城した設定であっても、何を監督が訴えたいかを重要視するという事である。

個性的な演出や奇想天外な話を好む僕にとっては「HOUSE」は出鱈目さが目立つが、大林監督のもつ不変のテーマは初監督作品から貫かれている気がして最後まで退屈せずに観た。

それぞれの個性が際立った7人の女子高校生グループがお化け屋敷で怪異に襲われ次々と殺されていくのはキャッチーで分かり易い。

ホラーだが怖いというよりコメディ寄りで出演者も豪華でよかった。

コメディ演出として門前払いを食らわせた映画会社への腹いせで寅さんやトラック野郎の偽物がチョイ役で出たのも面白かった。

高校生役なのに池上季実子を始め何人かはヌードを見せていて脱ぎっぷりも良く時代を感じさせた。


美少女を脱がすのが大森映画の一つの特徴だと町山さんが言っていた。

決して人に薦める作品ではないが観て損はなかった。

大勢で劇場にて観られたのも良かったのかもしれない。家のテレビではチープすぎるように感じた気もする。

他の大林監督作品を観たくなった。

手始めに今週末、再開するシネマ5で「時をかける少女」を観るつもりだ。