デスクの風景
僕の勤める会社はIT企業であり、僕の所属するチームは地方でもかなり何もない所にポツンと存在する事務所であることからかなり自由だと思う。
服装や見た目で言えば、ジーンズはOKだし、僕はほとんどをビルケンシュトックのサンダルで通っているがそれをとがめられた事はない。上着はスウェットやジャージなんかでも問題にされないし、髭を伸ばしている人も複数いて、僕自身も最近まで伸ばしていた。
僕は腕にインディアンジュエリーのブレスレットを2つしているし、結婚指輪以外のファッションリングをしているが誰も気にしない。Tシャツも薄い下着のようなものでなければ可能だ。
勤務態度についても、遅刻や早退で怒られたことはないし、有給休暇も上司を除いてほぼ100%みんな使っている。忙しくない時に個人の勉強はもちろんのことイラストを描くことやインターネットの閲覧、電子書籍を読むことも黙認されている。
僕らのチームは真面目な人が多いので、それでも羽目を外すような人が今はいない。
今はと書いたのは今年の3月いっぱいでクビになった佐々木さんはチームの枠に入らないような人だったからだ。
佐々木さんは勤務中に大きなイビキをかいて寝るし(驚くべきことに静かにちょっと居眠りするぐらいなら僕らのチームでは怒られない)、自分の隣の無人の席の椅子が自分の机に近くなっていたと怒って大きな音を立てて押しのけるし、注意をされると逆切れするし、気に入らないことがあると早退し何日も会社を休むし、通勤中に車間距離を空けずにパトカーを追尾し警官に注意されると食ってかかるし、かなり問題行動の多い人だった。
そんな佐々木さんの僕が覚えている最初のトラブルはデスクの飾りつけだった。
飾りつけというと大げさかもしれないが、佐々木さんはゴジラやスターウォーズなどのキャラクターものが好きで、ガチャガチャ等も非常に好むことから、机にそれらのグッズを並べるのが趣味だった。
先に書いたように自由なチームなので、誰も最初は問題にしなかった。席が隣の僕は、それは何のキャラクターですかとか、それ格好いいですねだとか話しかけていた。
その様子を見ていた、一番長く勤めている松浦さんが問題視し我々の上司の西岡さんに言いつけたのだ。
西岡さんは誰かが問題にすることにはきちんと対応する人なので、その件に関しても佐々木さんに注意し、ゴチャゴチャしていた佐々木さんの机はキャラクターグッズがだいぶ減り大人しくなった。
そのことを始め数々の問題から佐々木さんはクビになったが、机の一件に関して僕はかなり同情的だった。自分のデスクくらい好きにしていいじゃないかと僕は思っている。
そういう僕のデスクもかなりゴチャゴチャしている。
前置きが長くなった。
あまり興味のもてない内容かもしれないが、将来ブログを読み返した時の記録の為に僕のデスクの風景を描いてみようと思う。
僕のデスクで一番目を引くのは前の机との間に挟み立てかけている、ビートルズの5つのホットウィールだと思う。
それぞれ「with the beatles」「HELP」「REVOLVER」「Yellow Submarine」「Abbey Road」のアルバムジャケットの台紙にそのジャケットの絵が描かれたホットウィールのミニカーがついている。
ビートルズもホットウィールもそれほど特別好きなわけではないがセブンイレブン限定で売られていたこの商品をビートルズ好きの先輩が探していたので興味を持ち、先輩に一部をプレゼントした時に自分の分も購入した。
ミニカーで言えば僕はトミカ派でPCモニターの土台には、バックトゥザフューチャーのデロリアンとカリオストロの城のフィアット500とビームスのクレイジーパターンのビートルを飾ってある。
映画に出てくるトミカを集めようと思っていたがビートルを加えてしまったのでテーマが分からなくなった。
トミカと同じ土台にはゲーセンでひろった透明な車種不明の置物と佐々木さんがガチャガチャであてたのを譲ってもらったジョジョのイギーの初登場の時の顔つきの小さなフィギアもある。
PC本体には気に入った映画のチラシを張っていて飽きたら交換している。ここ数か月は「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ アディオス」のチラシがシックリ来ていてもう当面これでいいかなと思っている。
そのチラシを半分隠すように立てかけているのが、2018年の「ミシュランガイド熊本・大分特別版」で暇な時に眺め参考にしている。
机上の文房具はペン立てとクリップケースの二つだけで共にデルフォニクスのものだ。
両方青色の物を選び、ペン立てにはステッカーを4つ張っている。その4つはパタゴニアと懇意にしているライブハウスカッパーレイヴンスの7周年のものと友人のSOLEXというバンドのものと落語家・月亭太遊さんの千社札だが、どれも思い入れはなくもらったから何も考えずに張った。
クリップケースは形状がとても気に入っていて、マグネットがついた歯車を回すとそのマグネットについて次から次へとクリップがでてくる。これはデスクワークを始める時にいつも新しいものを購入していて、今までいくつ買ったかわからない。
文房具は僕の左手にありそこを僕は青いエリアと決めていて、100均の青いRodyのミニチュア、昔恵比寿の家具屋さんで買った青い円形の上下に波状の切り口で分かれるミッドセンチュリーの小物入れと青で統一していて、追加で買ったカシオの計算機もメタルブルーにした。
青いエリアにはJINSのブルーライトカットの眼鏡の青いケースも含まれる。
青いエリアも白ならいいかなと思って、白い鉄製のコーヒー豆のケースを置いている。
ケースには頭にコーヒーカップをのせたパグ犬が描かれていてその下に分かり易く「coffee time」と書いているが、中身は個包装の「大人のふりかけ」を詰めている。
カレンダーは2つおいてあり、一つはイラストレーターの村上暁子さんのもので翌月を示すようにしてあり、もう一つは会社に支給されたシンプルなカレンダーで今月を示している。
村上暁子さんは先日オンライン飲み会をした芳子ちゃんの高校の同級生のイラストレーター。飲み会で言われるまで忘れていたが一度コンパをした相手だった。
彼女の描く頭巾をかぶった小さな人の世界観や絵柄が好きでカレンダーを購入して会社に飾った。ただ、カレンダーとして機能的ではないので会社でもカレンダーをもらったのだ。
カレンダーの後に村上さんの原画を2点購入し、最近会社に持ってきた。
それは5.5センチ×5.5センチの小さな絵で木のフレームを含めても机上で邪魔にならない。
二つの絵のうち一つは「春っこ」と題された絵で花が体から湧き出るような絵柄の青い服を着た女の子の絵が描かれている。もう一つは「なかよし」と題された、頭に小鳥をそれぞれ乗っけてお揃いのショルダーバッグをさげた双子のようにそっくりの二人のオレンジ色の女の子の絵だ。
机の上の可愛い感じのものは他にもあって、豊泉堂という別府の玩具屋のだるま鈴だ。
3センチ程の三角形の小さなだるま型のその鈴を土産物屋さんで見かけて一目ぼれし、季節ごとやイベントごとに出る新しい種類を買い求めコレクションしている。
家に飾るところがないのでデスクの上に飾っていて今は7体だがひな祭りバージョンやバレンタインバージョンなど季節によってはもっと沢山飾っていた。季節外れの物は足元の箱にしまってある。
姫だるまの群に同じ背丈のアベンジャーズ公開時に劇場でもらったソーのクーナッツが一体紛れている。
テイストは違うのだが大分前にブログに写真をのせた南米のデコレーションされた花柄のピンクのドクロの貯金箱もそばにおいてある。
もう一つテイストの違うものとして、デスクの一番隅に映画サークルの先輩から描いてもらった似顔絵がある。それは、シャイニングのポスターのジャック・ニコルソンが斧で叩き破った隙間から顔を覗かせている有名な絵を僕の気持ち悪い似顔絵で当てはめているものだ。
どれくらい気持ち悪いかというと、以前Facebookのアイコンにしてたら母親からやめた方がいいと進言された。
その先輩が他の人を描くととても似ているので、多少の悪意が感じられるが、先輩にはこう見えてるんだろうと思うようにしている。
実用的な物もそのまま置いておくわけではなく、ボックスティッシュは奈良の洋服ブランド「デナリ」のティッシュケースの迷彩柄のものに入れ、筒形のウェットティッシュは佐々木さんがデザインした三船敏郎がダースベーダーになってライトセーバーもっているイラストを巻いてある。
タイでの思い出としてジディに買ってもらったスターバックスのパタヤビーチマグカップとコースター代わりに敷いたウォバッシュパンツの裾上げのあまり布で僕のデスクはとりあえず完成である。
我ながらなんとも趣味に溢れたデスクだと思う。
佐々木さんの机と変わらない気もするが、ゴチャゴチャしていながら統一感が感じられる。
そのせいなのか普段の勤務態度やスタイルのせいか、僕はデスクの上の有様を注意されたことはない。
このことに限らず、注意されたことなんてこれまでの勤務の中で数回で、怒られたことなんて一度もないので、このまま悪目立ちせずに会社に馴染んでいき、あわよくば定年まで頑張りたい。
何年後かにこのブログを見返したらいかにデスクの風景が変わっているのか、それとも相変わらずなのかちょっと楽しみである。