別府ブルーバード
僕の住む大分県内の映画館がみな4月18日から営業自粛を始めた。
3週間前から映画館に通うのを止めていたが、コロナ鬱のような状態になり家にいても気分が落ち込むので、ジディの許可を取って4月16日に別府ブルーバードに映画を見に行った。
普段からあまり観客が多くないがコロナの影響で更に客足が遠のいているという事をSNSで知っていたので、マネージャーのミキさんに事前に映画を観に行くことを伝えていた。
僕が映画を観に来たら88歳の館長の照さんも喜ぶと言ってくれた。
ブルーバードに出向くと映画サークルの先輩タカムラさんが出迎えてくれた。普段からブルーバードをサポートされているが、コロナ騒ぎが始まった後も毎日のようにブルーバードに通っているそうである。
その日観た映画は「ハスラーズ」ストリッパーがウォール街の男たちに昏睡強盗する実話に基づいた映画だった。
観客は僕一人。貸し切りでいつものように一番前のベンチシートで映画を観た。
映画自体はすごく面白かった訳ではないが、久しぶりに映画館で映画を観られることにとても感動した。
ブルーバードの方々と親しくなったのはこの数年で、昨年は68本の映画をブルーバードで観た。マネージャーのミキさんは事あるごとにブルーバードで一番沢山映画を観てくれるお客さんと言ってくれる。
とても味のある映画館で、設備は古いが、88歳の名物館長が切り盛りする温かい映画館である。
近年は映画ライターの森田さんがサポートを始めたことにより、年に一度の別府ブルーバード映画祭では連日、有名な映画人たちが舞台挨拶をすることで、それを目当てに満員の観客で一杯になり大変盛り上がる。
2番館であるため上映期間が他より遅れるが、マネージャーのミキさんが事前に他の映画館で見ないように上映情報を送ってくれる。
所属する映画サークルとコラボしたイベントも沢山ありお世話になっている。
僕個人としても自分の実家のような映画館だと思っている。
コロナの影響で運営が厳しくなった小規模映画館の支援の話が広がって沢山のお金を集めている。
照さんは、自分の映画館は自分とボランティアの人で運営している。普段から観客も多くないし、今のところは支援はいらない。どうぞ他の映画館を支援してください。と表明した。
なんともカッコいいと思った。
別府で唯一の映画館。
照さんが長年守ってきた大事な映画館なのでコロナなんかに負けないで欲しい。
別府ブルーバードと照さんを愛する映画監督である阪本順治さんが「映画館は映画のゆりかごである。」と言っていた。
様々な映画を見守ったゆりかごであるブルーバードの存続を切に願う。