多いに恋せよシングルマザーズ(上)
大分だけかもしれないが、意気地のない男に対して“女の腐ったやつ”といってバカにすることがある。
それは僕がすごく嫌いな言葉で、なぜなら、男がどんなに頑張っても女には勝てないと思っているからである。
「九州男児」なんていって女をリードする男らしい男みたいに使うけど、それはむしろ逆で、外では男らしくあってほしいと、賢い九州の女達が男をたてるから、なんか格好よく見えてしまうのである。
深夜特急の中で主人公は、安さゆえに売春宿によく寝泊まりするのだが、ある国では、自分の彼女に売春させたヒモが、客が帰った後のベッドで一緒に彼女と寝ていたと書いてあった。
どこの国も男は女に支えられて生きているのかもしれない。
かくゆう僕の親父もやはり俗にいう九州男児であった。
外では同僚と麻雀している時に、深夜に母を呼び出してラーメンを作らせるほど母にたてられていたのだが、家ではゴキブリを怖がり母をタテにしゴキブリから逃げていた。
僕もその血は受けついでおり、つい先ほどアパートに初めて出たゴキブリに超ビビり、遊びに来ていたセイちゃんに「ゴキブリを殺すまで帰らないで」とお願いした(ゴキブリがうじゃうじゃ出るアジアの安宿に泊まる予定だが、やっていけるのだろうか?まあ最初から出ると分かっていれば怖くないのかなぁ)。
いつもは頼りなく見えるところのある、僕よりかなり優男のセイちゃんだが見事ゴキブリを始末してくれた姿は相当に格好良かった。
旅行中の色々なことをセイちゃんにお願いしといて良かったとあらためて思った。
僕の親父がなくなってもうすぐ二十二回目の命日を迎える。
残された母は親父が無くなった後に、女一人で二人の子を育て、僕を私立の大学に行かせ、妹を専門学校にまで行かせてくれた。たいしたものである。
さらに、頭の出来も残念な僕は、存命中の父親に「家は私立の高校に行かせる余裕がない」と言われており、脳溢血で倒れたまさにその日に最後に俺に親父が言った言葉が「そろそろ勉強せんとな」だったのにも関わらず、父親が亡くなった年の受験に失敗し、高校も私立に通わせてもらった。
本当に母には頭が上がらない。
今の僕とほとんど変わらない38歳の年でシングルマザーとなった母はまもなく還暦を迎える。
楽しく飲みに行ったり、映画や温泉に連れて行ってくれる男友だちはいるようだが、特定の彼氏というものはとうとう出来なかった。
親父しか男を知らないというのが母の自慢のようである。
高校の時から同級生であった親父と付き合い始め、死ぬまで仲良くできた夫婦である。
親父が「あんたを知る前より、知った時からの人生の方がもう長くなったなぁ」と母親に言ったことや、母親が「先に死なれると寂しいから、私が死んでから死んで。けど寂しいから、私が死んだらすぐに死んで」と親父に言っていたことを聞かされると、すごくバカップルだが子から見ても幸せな夫婦だと思う。
母親との約束を守らず、親父はあまりにも早く死にすぎて、母親は相当寂しい思いをしたと思う。
僕は母に残りの人生を一人で過ごしてもらいたいなど一度も思わなかったし、母が選んだ人なら喜んでお父さんと呼ぶ覚悟があった。
⇒(下)へ続く(いつもながら、長文ゴメン。続きが面白いよ)
BGM:ウルフルズ「かわいいひと」
それは僕がすごく嫌いな言葉で、なぜなら、男がどんなに頑張っても女には勝てないと思っているからである。
「九州男児」なんていって女をリードする男らしい男みたいに使うけど、それはむしろ逆で、外では男らしくあってほしいと、賢い九州の女達が男をたてるから、なんか格好よく見えてしまうのである。
深夜特急の中で主人公は、安さゆえに売春宿によく寝泊まりするのだが、ある国では、自分の彼女に売春させたヒモが、客が帰った後のベッドで一緒に彼女と寝ていたと書いてあった。
どこの国も男は女に支えられて生きているのかもしれない。
かくゆう僕の親父もやはり俗にいう九州男児であった。
外では同僚と麻雀している時に、深夜に母を呼び出してラーメンを作らせるほど母にたてられていたのだが、家ではゴキブリを怖がり母をタテにしゴキブリから逃げていた。
僕もその血は受けついでおり、つい先ほどアパートに初めて出たゴキブリに超ビビり、遊びに来ていたセイちゃんに「ゴキブリを殺すまで帰らないで」とお願いした(ゴキブリがうじゃうじゃ出るアジアの安宿に泊まる予定だが、やっていけるのだろうか?まあ最初から出ると分かっていれば怖くないのかなぁ)。
いつもは頼りなく見えるところのある、僕よりかなり優男のセイちゃんだが見事ゴキブリを始末してくれた姿は相当に格好良かった。
旅行中の色々なことをセイちゃんにお願いしといて良かったとあらためて思った。
僕の親父がなくなってもうすぐ二十二回目の命日を迎える。
残された母は親父が無くなった後に、女一人で二人の子を育て、僕を私立の大学に行かせ、妹を専門学校にまで行かせてくれた。たいしたものである。
さらに、頭の出来も残念な僕は、存命中の父親に「家は私立の高校に行かせる余裕がない」と言われており、脳溢血で倒れたまさにその日に最後に俺に親父が言った言葉が「そろそろ勉強せんとな」だったのにも関わらず、父親が亡くなった年の受験に失敗し、高校も私立に通わせてもらった。
本当に母には頭が上がらない。
今の僕とほとんど変わらない38歳の年でシングルマザーとなった母はまもなく還暦を迎える。
楽しく飲みに行ったり、映画や温泉に連れて行ってくれる男友だちはいるようだが、特定の彼氏というものはとうとう出来なかった。
親父しか男を知らないというのが母の自慢のようである。
高校の時から同級生であった親父と付き合い始め、死ぬまで仲良くできた夫婦である。
親父が「あんたを知る前より、知った時からの人生の方がもう長くなったなぁ」と母親に言ったことや、母親が「先に死なれると寂しいから、私が死んでから死んで。けど寂しいから、私が死んだらすぐに死んで」と親父に言っていたことを聞かされると、すごくバカップルだが子から見ても幸せな夫婦だと思う。
母親との約束を守らず、親父はあまりにも早く死にすぎて、母親は相当寂しい思いをしたと思う。
僕は母に残りの人生を一人で過ごしてもらいたいなど一度も思わなかったし、母が選んだ人なら喜んでお父さんと呼ぶ覚悟があった。
⇒(下)へ続く(いつもながら、長文ゴメン。続きが面白いよ)
BGM:ウルフルズ「かわいいひと」