青春発→地獄行き片道切符 | MOONLIGHT EXPRESS ムーンライトエクスプレス

青春発→地獄行き片道切符

無職の僕がどうやって旅行資金を稼いでいるかっていうと無職だからである。
なんていうと禅問答みたいだけど、実は政府が行っている就業支援プログラムでWEBデザインの学校に通っているからである。

ハローワークの紹介を受け、一定の条件を満たせば通えるこのプログラムは、テキスト代と交通費を自己負担すれば、専門的な勉強をさせてくれ、さらに家族構成に応じて10~12万円支給されるのである。

ただし3ヵ月、週5日(1日50分授業×6コマ)の授業を、1ヵ月ごとに8割以上出席という条件もクリアしないといけない。

35歳の僕は20歳~50代後半の20人の性別・経歴等様々な生徒さんと勉強している学生である。

この学校がまあ面白い。

僕は金がもらえれば何の学校・勉強でも良かったのだけど、募集タイミングがドンピシャだったWEBデザイナー科の今の学校にたまたま入ることができた。

僕は完全縦社会という社会人ノリよりも、ゆるーい横社会の学生ノリが合う、いやむしろ得意な人間である。

まあ学校にはすんなり馴染め、みんなと友だちになるのはそんなに難しくなかった。

しかし、WEBデザインという馴染の薄い授業について行っているかと言われれば正直微妙だ。
絵を書くのは苦手だし、ホームページの作成もいまいちピンとこない。

でもまあ、2ヵ月通えば僕みたいな人間でもブログでも始めてみようかと思うのだからたいしたものである。

3ヵ月のうち3分の2が過ぎた。

その間に僕は学校の友だちと、
 ・4回カラオケに行き
 ・高校の時に通っていたオールディーズのお店で下手なツイストを踊り
 ・シングルマザーのチホさんの中学生の子どもセナの運動会をみんなで応援に行き
  (かなり痛い中2病の僕はセナと親友になった。僕らはAKBでは篠田好きという共通点があったのだ。)
 ・別のシングルマザーのアケミちゃんの家に泊めてもらい
  (記憶にないが艶っぽいことは全くなかったらしい。年下のアケミちゃん曰く、ベロベロに酔っぱらった僕は、子ども部屋に寝させてもらいながら、“僕のこと襲わないでもらえますか?”“寒いんで毛布かけてもらっていいですか”“電気はちっこいやつだけ点けててもらってていいですか”とか相当甘えん坊モードだったらしい。僕のエロ武勇伝が大好きなサイタニさんが聞いたらビックリするくらいフニャチン野郎だったらしい。久しぶりに子ども部屋で寝たことで僕の息子が本当に子どもになったのか、酔っぱらって役に立たなかったのかは今となっては確かめられない・・・)
 ・ビジネスマナーを教えてくれた、僕の大好きなクミコ先生の紹介でコンパをし
  (コンパはいつもクールなヤマちゃんが反省会で上機嫌になるぐらい大成功。旅行から帰ってきたらヤマちゃんの財布で同じメンバーで臼杵のフグを予約していいとのこと。すげーラッキー。今週末2回目もセッティング済み)
      ・・・等々、18歳の学生でもこんなに充実していないだろうというぐらい、遅い青春を謳歌している。

こんな楽しい生活をしていて、お金がもらえるなんて本当に飯ウマである。

政治に疎い僕はこのプログラムを誰が考えたか分かんないが、分かれば喜んで1票投じる。

深夜特急の中で、長旅から祖国への最後のバスに乗り込む若者が「青春発→地獄行きのバスに乗り込む」と言っていた。

学校生活をエンジョイしている僕らもそのバスに乗り込んでいるのかもしれない。

とは言えあと1ヵ月ある。

今が人生の分岐点とした時に
    “これまでの人生で一番年をとった”
と考えるか
    “これからの人生で今が一番若い”
と考えるかは人それぞれ自由だが、僕は断然後者である。

さらに僕の旅はこのままアジアに続くのである、、、。

BGM:THE HIGH-LOWS「青春」